カトリック仁川(にがわ)教会(兵庫県西宮市)の敷地内にある仁川修道院で6日午後4時半ごろに出火があり、建物が全焼する火災があった。修道院には司祭3人が居住していたが、当時は無人で、けが人はなかったという。
NHKによると、修道院は木造2階建てで、消防車16台が出動し、火は約3時間後に消し止められたが、延べ約460平方メートルが全焼した。近隣住民からは、2階の南西の部屋から火が出ていると通報があったという。一方、神戸新聞によると、8日午前0時ごろにも、近隣住民から「火が見える。白煙が出ている」と再び通報があった。火種が残っていたとみられるという。
仁川教会の発表によると、聖堂やフランシス館、マリア館、ゲストハウスなど、敷地内の他の建物や、近くにある仁川学院、近隣住宅への延焼はなかった。また、電気も復旧し、黙想会や主日・平日のミサ、勉強会などは予定通り行うという。
仁川教会を管轄するカトリック大阪大司教区もホームページで火災を報告。教会からは「皆様からお見舞いや協力のお申し出をいただいておりますが、しばらくは対応することが困難ですので、お祈りにお留めいただくようにお願いいたします」と伝えられているとし、配慮を求めた。
また、「災害はいつ降りかかるか分かりません。教会や修道院、諸施設など皆様がおられるところにおかれましても、災害の際にどのように行動するかを日ごろから準備していただきますようお願いいたします」と注意を呼びかけた。
仁川教会は大阪大司教区に属しているものの、コンベンツアル聖フランシスコ修道会(コンベンツアル会)に宣教司牧が託されている委託教会。今回火災があった修道院も修道会のもので、現在は幼稚園から高校まで擁する仁川学院も、修道会が戦後、幼稚園を開設したことに始まる。
火災を受け、修道会、修道院、教会、学院は連名で、教会と学院のホームページに「お詫び」を掲載。火災による長時間の交通規制や煙・火災臭などで迷惑をかけたとして謝罪するとともに、各方面からの支援に感謝を表明。「修道院は全焼となりましたが、非常時においても多くの皆様方から温かいご支援と励ましをいただき、そのことが大きな救いとなっております」と伝えた。
また、修道院は今後、防火体制の見直しを行い、再発防止に取り組むとし、再建についても検討するとした。
コンベンツアル会は、「平和の祈り(平和を求める祈り)」で有名なアシジの聖フランシスコが13世紀に設立した「小さき兄弟会」を前身とするカトリックの修道会。小さき兄弟会は16世紀に3つの修道会に分かれ、そのうちの1つとして、現在世界60カ国以上で活動している。第2次世界大戦時にナチスのアウシュビッツ強制収容所で身代わりの死を遂げたマキシミリアノ・コルベ神父が会員として知られている。