かねてから経済危機に直面していたスリランカだが、ウィクラマシンハ首相は7月5日、議会でスリランカの国家破産を宣言した。外貨不足から輸入が滞り、物資の不足によってインフレ率は今年中に60パーセントに達する見込みだ。現状でも食料、燃料、医薬品価格の高騰に加え、燃料不足が全国で深刻化している。
今回の財政破綻の原因は、政治の失策と腐敗にある。ここ十数年、政府は中国など外国からの融資に頼ってきたが、少なくともその10〜30パーセントが使途不明となっている。政府への不信感の高まりから、同国では民衆デモが頻発していた。
7月9日に起きた大規模デモの結果、大統領公邸がデモ隊に占拠された。暴徒化したデモ隊は、首相官邸や国会周辺も襲撃し、治安部隊と衝突した。その結果、双方に死傷者を出し、政府は14日、首都や最大都市を含むコロンボ県に外出禁止令を発令し、18日には全土で非常事態を宣言した。
ラジャパクサ大統領は13日に国外へ脱出。モルディブ経由で14日に到着したシンガポールから国会議長に辞表を提出し、辞任した。ラジャパクサ氏の辞任を受け、首相や大統領代行を務めてきたウィクラマシンハ氏が21日、新大統領に就任した。通常は国民による直接選挙で大統領が選出されるが、大統領の任期途中での出国・辞任により、憲法の規定に従い議会の投票によって新大統領が選ばれた。
政府への信頼失墜と同時に、伝統宗教に失望するスリランカ人は少なくない。一方、地元のキリスト者らは、小グループで集まり祈り続けている。彼らは経済的な復興だけでなく、霊的な復興を求めて祈っているのだ。ある教会では庭を野菜畑にするよう勧め、野菜の苗と肥料を提供し、タンパク源のために魚を飼育している。これらをもって隣人への神の愛を示すため、彼らは奮闘しているのだ。
国家的試練にあるスリランカだが、これを通して人々がキリストに出会い、不正を憎む為政者が立てられ、経済復興とともに霊的な復興が果たされるよう祈っていただきたい。
■ スリランカの宗教人口
仏教 70・0%
プロテスタント 1・5%
イスラム 8・5%
ヒンズー 12・8%