日本で生まれ育ちながらも、強制送還される危機にある外国ルーツの子どもたちが300人近くいるとし、日本カトリック司教協議会(会長:菊地功東京大司教)は23日、こうした子どもたちとその家族に人道的観点から在留特別許可を与えるよう求める要請書(3月25日付)を古川禎久(よしひさ)法相宛てに送ったことを明らかにした。
要請書によると、日本の司教らは昨年12月、難民や移住者らに関する研修会を開き、その中で強制送還の危機にある子どもの証言を聞いたという。その子は日本で生まれ、日本の学校教育を受け、日本語しか話せないにもかかわらず、両親に在留資格がない状態であったことから、本人にも在留資格がなく、国外への退去強制が決まっているという。すでに父親は強制送還されており、母子は在留許可を求めて提訴したが、最高裁で上告が棄却され、強制送還の危機にある。
司教らは、「在留資格のない両親のもとに生まれ育った子どもや、幼少期に来日し日本で成長した子どもにとって、日本は故郷であり、日本語が母語であって、他に帰る場所などありません」と強調。こうした子どもたちを生活基盤のない国外へ送還したり、親子を引き離したりする行為が、「子どもの権利条約」に違反する可能性を指摘している。その上で、「なぜ、日本で生まれ育った子どもたちが、このように苦しまなくてはいけないのでしょうか。私たちの国はこれほど非人道的な国なのでしょうか」と訴え、在留特別許可を与えるよう求めている。