21日に死刑囚3人の刑が執行されたことを受け、日本カトリック正義と平和協議会(会長・勝谷太治司教)は同日、岸田文雄首相と古川禎久(よしひさ)法相に宛てた抗議声明を発表した。
声明は「尊いいのちが国家の手によって奪われたことに対して、深い哀しみを覚えつつ強く抗議します」と表明。「たとえどんなに重い罪を犯した人であってもその人格の尊厳は決して失われないと固く信じています」と、カトリック教会としての立場を説明し、死刑は「人格の不可侵性と尊厳への攻撃」だとし、許容できないとした。また、現在は刑罰制度の厳格な適用により、死刑以外の方法で犯罪の再発防止、社会の安全確保が可能になってきているとし、カトリック教会としては「死刑制度はその存在理由をもはや失ったと考えている」と伝えた。
その上で、新型コロナウイルスのパンデミックにより、日本でも多くの人命が失われ、今も危機に瀕している人々が多くいる状況に言及。政府が第一に行うべきことは、救えなかった一つ一つのいのちに向き合い、現在の状況に対処することだとし、「それこそがコロナ禍にあって政府が、そして私たちが果たすべき『責任』であって、死刑執行によって新たな殺人を重ねることでは決してないのです」と訴えた。
法務省は21日、兵庫県加古川市で親族や住民ら計7人を殺害し、殺人などの罪で死刑が確定した藤城康孝(65)、共謀して群馬県内のパチンコ店2店で店員2人を殺害し、強盗殺人などの罪で死刑が確定した高根沢智明(54)、小野川光紀(44)の各死刑囚の刑を執行し、発表した。日本における死刑執行は2019年12月以来2年ぶりで、岸田内閣ではこれが初めて。これにより拘置所に収容中の死刑囚は107人となった。