8月のアフガニスタンのタリバン政権樹立や、近年のシリアやイラクにおける中東情勢の混乱は、周知の通り多数の難民を生み出している。
これらの難民らの多くは、トルコを経由してEUを目指している。トルコはシリア内戦以降、すでに400万人近い難民を抱えており、国内の不満が高まっている。また、人権問題や地中海のガス田をめぐって、EUとトルコの間のあつれきも近年高まっているため、トルコは、アフガニスタンからの難民受け入れを拒否する代わりに、EUが受け入れるようにと求めている。
一方EUは、トルコの難民受け入れの見返りとして、トルコ国民のビザなしEU渡航を約束したが、これを反故にし、支援金の満額支払いなどの約束も不履行にしている。
難民に紛れて流入する可能性のあるテロリストなども頭の痛い問題だ。残念なことに、難民という生きた人間が、両者間の国益をめぐる外交カードにされている。数年前トルコはEUを脅迫しようと、ギリシャとの国境に数十万人の難民を連れてきたことがある。それ以来、ギリシャとEUは、難民流入を防ぐため、国境に壁を作っている。
難民問題が国益の道具とされることのないように祈っていただきたい。また、この課題で幾度も取り上げたように、中東からのイスラム教徒の難民らは、ギリシャなどのキャンプで伝道され、回心するケースが少なくない。
神は、難民発生という動乱さえも用いて、伝道を通してご自身の愛を知らせたいと願っておられる。これら難民たちのために働いている宣教団体の奉仕と、彼ら難民の救霊のために祈っていただきたい。
■ トルコの宗教人口
イスラム 96・6%
プロテスタント 0・03%
カトリック 0・06%
正教 0・03%
ユダヤ教 0・02%