熱心なクリスチャンとして知られるフィリピンのボクサーで上院議員のマニー・パッキャオ(42)が9月29日、自身のインスタグラム(英語)などで現役引退を表明した。パッキャオは神に感謝を表明し、神の助けなしには自身のキャリアは実現しなかったと振り返った。
1995年にプロボクサーになったパッキャオは、90年代から2020年代までの4つの異なる年代すべてで世界王座を獲得した世界唯一のボクサーで、世界王座獲得数は通算12回に及ぶ。また、世界王座を獲得した最年長ボクサーでもあり、制覇した階級数は6階級に及ぶ。この26年間のボクシングキャリアにおける成績は、72試合で62勝8敗2引き分けと驚異的だ。
インスタグラムに投稿した動画では「神はいつも良いお方です」と言い、「私はすべての栄光を神にささげます。私はいつも、神の下ではすべてのことが可能であると信じています」とコメント。「神がいなければ、私は何もできません」と述べ、「神は私を鍛え、すべてのことを達成する能力を与えてくださいました。主は私にあふれんばかりの祝福を与えてくださいました」と語った。
「無条件の愛」を与えてくれた家族や、キャリアを通じて指導してくれた多くの人々にも感謝を表明。トレーニングチームやプロモーター、メディア、サポーターにも感謝の意を表した。
「チーム・パッキャオの皆さん、長い間、私に付き合ってくれてありがとうございます。世界中のボクシングファンの皆さん、本当にありがとうございます。皆さんの愛と支援に深く感謝しています。いつも私のために祈ってくださり、長年にわたって私の試合を見守ってくださりありがとうございます」
そして、競技者としての道を歩む上で常に励ましてくれたという家族への思いも語った。
引退する日を想像してもおらず、難しい決断だったというが、パッキャオは「さようならボクシング」と宣言。「ボクシングを辞めるに当たって、私を支えてくれた全世界の人々に感謝したいと思います」と語った。
ボクシングは貧しい家庭に生まれたパッキャオに、想像もつかないチャンスを与えてくれた。
家族が絶望的な状況にあったとき、ボクシングは貧困から抜け出すチャンスを与えてくれた。また、ボクシングはパッキャオにとって、自身の勇気を高め、希望を与えてくれただけでなく、他者に影響を与え、その人生に変化をもたらすためのプラットフォームとしての役割も担ったという。
「私は自分の人生で行ったこと、成し遂げたことを決して忘れません」。パッキャオはそう言い、「私は今、最後のゴングを聞きました。神はいつも良いお方です」と締めくくった。
パッキャオは、8月にしたインスタグラムの別の投稿(英語)でも、いつも自身のそばにいて、力を与えてくれる神に感謝と信頼を示していた。
「私がここまで来られたのは、神の恵みによるものです。戦うための力を与えてくださったのは神です。私は振り返って、ベストを尽くしたと正直に言うことができます。皆さんに神の祝福がありますように」
ボクシングのキャリアに加え、政界にも進出したパッキャオは、2010年に下院議員に、16年には上院議員となった。そして今年9月には、フィリピン最大与党「PDPラバン党」内の派閥全国集会で、来年5月に行われる大統領選の次期大統領候補に指名され受諾。正式に出馬を表明した。指名を受諾した際のインスタグラムの投稿(英語)でパッキャオは、次のように訴えている。
「私たちは貧困に勝たなければなりません。私たちには、誠実さ、思いやり、透明性をもって国民に仕える政府が必要です。今がその時です。私たちは、リーダーシップの挑戦に立ち向かう準備ができています」