南アフリカ代表のタチアナ・スクンマカー(24)が7月30日、東京オリンピックの競泳女子200メートル平泳ぎ決勝で世界新記録を樹立し、金メダルを獲得した。5年前に洗礼を受けクリスチャンになったスクンマカーはその数日前、ソーシャルメディアで自身のキリスト教信仰を率直に言いあらわし、結果にかかわらず、平安と感謝の心が与えられるよう神に祈っていた。
スクンマカーは、衝撃と説明できない感情が入り混じった心境で、この東京オリンピックに臨んだという。それでも7万人近いフォロワーがいる自身のインスタグラム(英語)には、祈りの言葉をつづっていた。
「父なる神様、あなたの御心がなりますように。あなたの平安が私たちを満たしますように。どんな結果になろうとも、あなたを褒めたたえることができますように」
インスタグラムのプロフィールには「すべての栄光が神にありますように」と書いているスクンマカーは、さらに次のように続けた。
「あなたの力によって強められ、私たちが自分のすべてをささげることができますように。そして、あなたの恵み深さをとこしえに畏れかしこむことができますように。私たちをここまで導いてくださったことを感謝します」
インスタグラムにこの祈りの言葉を投稿した5日後の7月28日、スクンマカーは競泳女子200メートル平泳ぎの予選で2分19秒16をマークし、オリンピック新記録を樹立。翌29日に行われた準決勝では、2分19秒33のタイムで1位となった。そして30日の決勝では、女子では初めて2分19秒台を切る2分18秒95の世界新記録で優勝し、金メダルを獲得。2013年にデンマークのリッケ・メラー・ペデルセンが打ち立てた記録を更新した。
また、競泳女子100メートル平泳ぎの予選でも1分04秒82を出し、オリンピック記録を更新。しかし、決勝では惜しくも銀メダルとなった。
スクンマカーがインスタグラムで自身のキリスト教信仰を表明するのは、初めてのことではない。2016年9月12日にイエス・キリストを救い主として受け入れ、洗礼を受けたスクンマカーは、翌17年の受洗記念日の投稿(英語)では、当時の動画に添えて次のようにつづっている。
「1年前の今日、私は人生に関わる決断をしました。イエスを個人的な救い主として受け入れたのです。そして、一生涯へりくだって神に従い、お仕えする決心をしました(使徒2:36~38)」
また、他の女性2人と共に洗礼を受けた喜びもつづっている。「同じように、神との素晴らしい人生を始めたいと思っていたこの2人と一緒に受洗できました。神様は恵み深いお方です」
この投稿に、女性の1人、ケイラ・サーマンさんは、「多くの意味と忘れられない思い出に満ちた日です。人にできる最高の決断を(することができて)とても感謝しています」と応じていた。
昨年8月の投稿(英語)では、2020年がオリンピックで初めて泳ぐ「年」になるはずだと思い、学業を一時離れてまでトレーニングに励んでいたことをつづっている。しかし、それは自分の計画であって神の計画ではなかったことに気付いたという。
「この年(2020年)は、私の水泳人生のためにトレーニングに打ち込んできた年でしたが、それは私が計画した年であって、必ずしも神様が計画した年ではないことに気付きました。私たちはいつも自分の計画を立て、自分のやり方でやることに夢中になってしまいます。でも、それは神様の計画、神様のやり方と一致しているでしょうか」
「神様、感謝します」とスクンマカーは大文字で書き、「あなたは、2020年のご計画が私の計画よりも大きいことに気付かせてくださいました。もっと素晴らしいことをあなたが備えていることを、私が信頼できますように」と続けた。
スクンマカーはオリンピック出場中、ソーシャルメディア以外の方法でも自身の信仰を公に表明していたことが報じられている。英プレミア・クリスチャン・ニュース(英語)によると、スクンマカーは試合中、常に2種類のキャップ(水泳帽)をかぶっており、一つは南アフリカを象徴する緑色のキャップで、もう一つは、横面に「Soli Deo Gloria」(ラテン語で「神のみに栄光あれ」の意)という文字と、魚の形をしたキリスト教のシンボルマーク「イクトゥス」がプリントされたキャップだったという。