フィリピンで国民的英雄として知られているプロボクサー、マニー・パッキャオ(36)。最近、自身のインスタグラムに、一番下の息子イスラエルを抱く写真を、「息子は父親の言葉ではなく背中を見て育つ」と、父親としての含蓄のある言葉と共に投稿した。英クリスチャントゥデイは、こうしたパッキャオの言葉と共に、彼のクリスチャンとしての信仰についても紹介している。
パッキャオは、母のディノシアさんが6人いた子どもたちを育てるのに十分な養育費がなかったため、貧困が原因で高校中退を余儀なくされたという。1995年、パッキャオは、家族を支える母を助けるために、プロボクシングの道に進むことを決意。ゆっくりと、しかし着実に成績を上っていった。
しかし、ボクシングで成功の頂点に立っても、このフィリピンの闘士は迷いや混乱を感じていた。米国のリック・ウォレン牧師の著書『The Purpose Driven Life(邦題:人生を導く5つの目的—自分らしく生きるための40章)』を読み始めるまでは。
パッキャオは、ローマ・カトリックとして育てられたが、後にプロテスタントの福音派に改宗した。賭け事や女遊び、酒浸りのこれまでの生活を捨てて、妻のジンキー夫人により献身的な夫、また3人の息子と2人の娘たちに対してより献身的な父親になった。今や、彼は常に教会に通っては、自由な時間があれば聖書を読み、慈善活動をしている。
「僕は聖書が人生の手引きだってことが分かって、それが僕に大きな慰めや、より良い人となることについての教訓を与えてくれたんだ。聖書は、僕がより良い人生を生きられるようにするには、自分の優先順位がどうあるべきかを示してくれたんだ。僕は聖書を信奉(しんぽう)して、ずっと幸せで平安なのさ」
一方、日本にも、元東洋フェザー級チャンピオンで、「魅惑のパンチャー」の異名を持つクリスチャンのボクサー、金子繁治さんがいる。雑誌『ニューエイジ』第2巻第4号(村岡花子編、教文館・毎日新聞社、1954年4月)の記事「ひとを殴るクリスチャン―世界選手権を狙うボクサー金子とはどんな男か―」で、日本基督教団碑文谷(ひもんや)教会(東京都目黒区)の大石繁治牧師(当時)は、同教会員の金子さんが「ファイトマネーも、その少からざる部分を、試合の日またはその翌日に教会に持参して奉納する」という、いかに熱心なクリスチャンなのかを伝えている。
1931年生まれの金子さんは、現在は自身が創設した金子ボクシングジム(同世田谷区)で名誉会長を務めているという。
なお、実在の人物ではないが、ボクサーを描いた米映画『ロッキー』でも、イタリア出身の主人公、ロッキー・バルボアはカトリック信者として登場している。また、ロッキーを演じた俳優、シルベスター・スタローン自身も、カトリックの幼児洗礼と教育を受けた後にいったん教会から離れたものの、再びクリスチャンとしての信仰を取り戻したと、2007年に北米のニュースサイト「Life Site」が伝えている。