双子の兄弟の親権をめぐる訴訟で、米テキサス州のダラス郡第301地裁は3日、母親に基本的な親権を当面の間認め、父親には限定的な面会のみ認める決定(英語)を下した。母親は、共に8歳の兄弟のうち兄について、トランスジェンダーであるとして性転換させることを望み、一方で父親は兄がトランスジェンダーであることを否定し性転換に反対していたことから注目を集めていた。
父親のジェフリー・ヤンガーさんと、母親で小児科医のアン・ジョーギュラスさんは離婚後、双子の兄ジェームズ君と弟ジュード君の親権をめぐり、この数年法廷闘争を繰り広げてきた。兄弟は卵子の提供を受けて体外受精で誕生したため、ジョーギュラスさんは子どもたちとは血縁関係にないが、ジェームズ君についてはトランスジェンダーであるとし、性転換させることを希望し「ルナ」と呼んでいる。
同地裁のメアリー・ブラウン判事は、ヤンガーさんについて「子どもたちの最善の利益のために出された命令に従う気がないか、従うことができない」と指摘。ジョーギュラスさんに、子どもたちの主たる居住地を定める権利や医療上の決定に同意する権利、教育を決定する権利など、その他のさまざまな排他的権利を当面の間認めるとした。しかし、思春期阻害剤やホルモン抑制剤の処方など、性転換医療については、ヤンガーさんの同意や裁判所の命令なしに、ジェームズ君に受けさせる権利までは認めなかった。
この他、ヤンガーさんが子どもたちと面会している期間は、ヤンガーさんの費用負担で、法医学カウンセリングサービスが継続的に面会を監督することも要求した。
ヤンガーさんの友人と支援者らが開設したフェイスブックページ「ジェームズ君を救え」は4日、声明(英語)を発表。「メアリー・ブラウン判事は、ジェームズ君とジュード君の安全と保護に反する決定を下した」として非難した。
テキサス州では、親権をめぐるこの訴訟が注目を集めたことで、一部の州議員が医学的に子どもの性別を変更することを禁止する法案を提出するなどしたが、廃案となっている。