スウェーデン教会はこのほど、トランスジェンダーの人々に向けた公開書簡を発表し、全面的に受け入れる姿勢を示した。
2000年までスウェーデンの国教会だった同教会は、現在も人口の約5割が所属する欧州最大のルター派教団。今回公開した書簡(スウェーデン語)では、同教会自体も「トランス(ジェンダー)な教会」であるとし、次のように書いている。
「教会は人で構成されています。人はそれぞれ違います。私たちの中には、自身をトランスジェンダーだとする堅信礼志願者や従業員、教区委員、選挙で選ばれた代表者、非営利団体従事者、その他の一般信徒がいます。この教会は、トランスジェンダーの人々によっても構成されています。それ故に、この教会はトランス(ジェンダー)であると表現できるのです」
書簡は、保守派だけでなく「トランスジェンダーを排除する」フェミニストも非難し、「狭苦しいジェンダー規範」と闘いたいとしている。司祭や執事を含め約950人(5月24日時点)が署名するこの書簡は、同教会のベステロース教区のウェブサイトに掲載されている。
書簡は、メディア従事者が保守的なジェンダー観を持つ人々に偏っており、それがトランスジェンダーへの「憎しみ」の風潮を生み、またその常態化につながっているとして非難している。
「私たちは、権力、国境、民族、性的指向、性別、性自認を超えて人々を歓迎する教会と神を信じています。虹のすべての色を持つ人類は、絶対的に素晴らしく、無限の多様性を持っています。私たちは異なっており、それは良いことです。神は、それを良いことだと見なしました」
リベラルな姿勢で知られる同教会は、2009年から同性間の結婚を認めており、17年には聖職者に対し、伝統的な男性形の代名詞や用語ではなく、性的に中立な用語を使って神について語るよう命じるなどしている。