新型コロナウイルス感染症による1日当たりの死者数が世界最悪の6千人を超えるインドで、キリスト教会が地元の病院と提携し、教会施設をコロナ患者専用の隔離治療センターに改装した。大型の教会施設には300病床が整備され、5月初めに行われた落成式には地元の州議員も参加するなどした。
キリスト教メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)によると、教会施設を改装したのは、中部テランガナ州の州都ハイデラバードにあるカルバリー・テンプル教会。8つの礼拝所を持ち、教会員数は33万人に上るという福音主義・無教派のメガチャーチだ。臨時のコロナ隔離治療センターは、地元の2つの病院と提携して開設した。
300病床のうち50病床は酸素投与機器を備えており、センター内で治療を受ける患者には、約100人のスタッフが治療や投薬ばかりでなく、食事も無料で提供する。
カルバリー・テンプル教会は、新型コロナウイルスの感染が流行して以降、これまでに3万7千世帯に計300万食以上の食事を提供する奉仕活動を行ってきた。5月22日現在も、教会には約800トンの食料が備蓄されているという。
「カーストや信条、人種、宗教を問わず、ドアをたたく人は誰でも受け入れます。人々の反応は非常に素晴らしいものです。彼らは自分たちが神の前にいる、神の神殿にいると信じています」。カルバリー・テンプル教会のサティシュ・クマール牧師は、「ほとんどの人がここで祈り、神の助けを求め、互いに励まし合っています。困っている人たちにキリストの愛を示すことができるのは、素晴らしい経験です」と言い、「私たちは人々を改宗させるのではなく、人々を創造主へ導くことで、彼らが道を見つけ、平和と幸福を得られるようにするのです」と語った。
ロイター通信が10日、インド保健省の情報として伝えたところによると、インド全土における過去24時間の新規感染者数は9万4052人で、死者数は6148人。累計では感染者数は2920万人と米国に次ぐ規模で、死者数は35万9676人と米国、ブラジルに次ぐ規模になっている。