新型コロナウイルス感染症による死者数が30万人を超え、米国、ブラジルに次ぐ規模になっているインドで、4月10日から5月17日までの約5週間に、カトリック司祭少なくとも160人が感染症により死亡したという。さらに、4月1日から15日までの約2週間にも、120人近い司祭が亡くなったとみられている。
インドの英字誌「インディアン・カレンツ」の編集長であるスレッシュ・マシュー神父が、バチカン・ニュース(英語版)に語ったところによると、インドでは4月10日から5月17日までの約5週間に、教区、修道会に所属する司祭少なくとも160人が新型コロナウイルス感染症により死亡した。160人のうち、60人以上が修道会の所属で、このうちイエズス会に所属する司祭が24人で最多となっている。
一方、これらの数字は、インド国内にある174教区すべてからの報告をまとめたものではないため、死者はさらに増える可能性がある。この他、2月から5月にかけて、引退した司教2人と大司教1人も感染症によって亡くなっている。
マシュー氏は、米カトリック系メディア「クラックス」(英語)に次のように語っている。
「私は、この悲劇の程度と理由を知りたかったのです。ジャーナリストとしての興味から、(インドにおける新型コロナウイルス感染拡大の)第2波で亡くなった司祭のリストを作成し始めました。インド・カトリック司教協議会の副事務局長に相談したところ、20人ほどの司祭の名前を教えてもらいました。しかし、マターズ・インディア(インドのキリスト教系ニュースサイト)のジョゼ・カビ編集長は、ウイルスに感染した多数の司祭の名前を教えてくれました」
マシュー氏は、インド国内の司教らに司祭の死者数について問い合わせたところ、その内容に驚いた。
「24時間以内に、私のメールボックスには亡くなった司祭の名前が大量に送られてきました。その中には、新型コロナウイルス感染症の犠牲者ではない人も含まれていました。今のところ、4月1日から4月15日の間にインドで120人以上の司祭が亡くなったといえるでしょう」
「司祭の死亡率は、新型コロナウイルス感染症の死亡率の全国平均を上回っており、その理由を深く研究しなければなりません。重要なことは、多くの司祭が40歳前後の働き盛りに亡くなっていることです。20人以上がイエズス会士でした。私たちはこのことについて調査する必要があります。この新型コロナウイルス感染拡大の第2波で、なぜ多くの若い司祭が亡くなっているのか。私たちの兄弟である司祭たちを単なる統計として終わらせてはなりません」