新型コロナウイルス対策の規制に違反して礼拝を行ったとして、カナダ人の牧師が逮捕された。コロナ関連の規制に違反したとしてキリスト教徒や牧師が逮捕されるのは、同国ではこれが3件目。
逮捕されたのは、西部アルバータ州カルガリーにあるフェアビューバプテスト教会のティム・スティーブンス牧師。数カ月にわたって教会員に公衆衛生規制を破るよう促していたとして、5月16日に逮捕された。
警察はスティーブンス牧師がこの日、「マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、出席人数制限などの公衆衛生規制に従わない」礼拝を行ったとしている。また、警察が礼拝中の教会に押し入るようなことはしなかったとしている。
カルガリー市警察とアルバータ州保健サービス(AHS)は、「牧師は禁止命令が出されていることを認識していましたが、ソーシャルディスタンスを保つことやマスクの着用、出席者の定員を減らすことなどの要求を無視して、今日の礼拝を進めることを選択しました」とする共同声明(英語)を発表した。
その上で、「私たちは屋外イベントの開催や参加を検討されている人には、公衆衛生規制の要件をよく理解し、ウイルスのさらなる拡散を防ぐために自らの役割を果たしていただくよう引き続きお願いしています」と付け加えた。
カナダの公共放送「CBC」(英語)によると、同国では当時、新型コロナウイルスの拡散を抑制するために、教会の最大収容人数が15人に制限されていた。またアルバータ州は当時、一人当たりの感染者数が同国の州・準州の中で最も多くなっていた。
スティーブンス牧師は5月初め、規制内容が変更された後、「教会に集まれる人数を15人に制限することは、実質的に教会に集まることを制限することであり、それはキリストの意志に反し、栄光の主をその言葉に従って礼拝することを望む多くの人々の良心に反します」とブログ(英語)で主張。政府が出した命令を無視する考えを示していた。
逮捕前の5月9日の説教(英語)では、教会で集まり続ける理由について、「キリストへの従順が他のすべての権威に勝る」からだと説明。「市民政府は教会の支配者ではありません。聖書はローマの信徒への手紙13章やペトロの手紙一2章において、教会を上回る市民行政権を与えていません」と述べ、「教会はキリストの体であり、キリストの花嫁です。彼ら(政府)は、礼拝やキリストを礼拝するために集まる方法の規制に関してではなく、正義の問題で剣を振るうべきです」「政府は、神が定めた方法でこれらのこと(礼拝)を行うことを禁じています。ですから、私たちは人間ではなく神に従わなければなりません」と語っていた。
カナダでは5月初め、ポーランド出身の兄弟であるアルツール・ポロウスキー氏とダビド・ポロウスキー氏が、違法な対面集会を行ったなどとして逮捕された。また3月には、アルバート州エドモントン近郊にあるグレースライフ教会のジェームズ・コーツ牧師が、ソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、定員制限などの公衆衛生規制を無視したとして逮捕されている。