イスラエル・パレスチナ間の戦闘が激化し、多数の死者が出ていることを受け、キリスト教指導者らが戦闘終結を求める祈りをささげている。
この戦闘は10日に始まり、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザに対し空爆を行い、ガザでは16日までに子ども55人を含む188人が死亡した。一方、ガザからはイスラム原理主義組織「ハマス」がロケット弾攻撃を行っており、イスラエルでもこれまでに子ども2人を含む10人の死者が出ている。
イスラエル軍は、14日には地上部隊による攻撃も開始。これまでのところ、ガザ内で展開する地上部隊はないとしているが、ガザへの地上侵攻に発展する懸念も指摘されている。
英キリスト教国際援助団体「クリスチャンエイド」の中東政策アドボカシー部長であるウィリアム・ベル氏は、イスラエルによる地上侵攻は「私たちを地獄の底に連れていくことになる」と警告する。
「国際社会は、あらゆる手段を用いて暴力を直ちに停止させるという責任を怠り続けるわけにはいきません。しかし、そこで止まっていてはいけません。イスラエルとヨルダン川西岸地区に広がる暴力が示すように、現状維持こそが私たちをこの状況に導いたのです。ある者を誤った安心感に導き、ある者を絶望に陥れたのは、不平等、差別、扇動、権力の乱用です」
一方、ヒスパニック系では最大規模の米福音派団体「全米ヒスパニック・キリスト教指導者会議」(NHCLC)の会長であるサミュエル・ロドリゲス牧師は、ハマスのイスラエルに対する攻撃は「テロ以外の何物でもない」と批判。ジョー・バイデン米大統領に対し、米国のイスラエル防衛支援を強化するよう求めている。
「すべてのユダヤ人、そしてパレスチナ人も、神に愛され、神に似せて造られた存在であり、それぞれの願いを実現するための平等な機会が与えられています。しかし、ガザのテロリストの行動と、民主主義国家であるイスラエルの国民を守るための行動との間に、道徳的な同等性はありません」
国連の中東和平プロセス特別調整官であるトル・ウェネスランド氏は、双方に攻撃の停止を求める緊急の呼び掛けを行った。
「直ちに攻撃を止めてください。事態は全面戦争に向かい激化しつつあります。ガザにおける戦争の代償は壊滅的であり、一般の人々がそれを払っています。国連は平穏を取り戻すために全関係者と協力しています。今すぐ暴力を止めてください」
福音派の米国際支援団体「サマリタンズパース」の総裁で大衆伝道者あるフランクリン・グラハム牧師は、「瞬く間に全面戦争になる可能性があります」と述べ、危機感をあらわにした。
「イスラエルにはアラブ人、ユダヤ人を問わず多くの友人が住んでいるため、現地の状況をとても気にしています。人が殺され、家族が防空壕(ごう)で恐怖におびえており、私たちの祈りを必要としています。聖書で命じられているように、『エルサレムの平和を求めよう』(詩編122:6)ではありませんか」
米カリフォルニア州のメガチャーチ「ハーベスト・クリスチャン・フェローシップ」のグレッグ・ローリー牧師は、誰もが「イスラエルのために祈るべきです」と強調。イスラエルは「イランの支援を受けたテロ組織ハマスから千発以上のロケット弾攻撃を受けています」とし、「聖書には『エルサレムの平和を求めよう』と記述されています」と続けた。
米キリスト教団体「マイ・フェイス・ボート」の最高責任者(CEO)であるジェイソン・イェーツ氏は次のように語った。
「イスラエルの人々は神に選ばれた人々であるため、クリスチャンとして彼らを支援します。米国人として私たちは、イスラエルが同盟国であり、中東で唯一の民主主義国家であることをたたえています。イスラエルは、信教の自由、人権、法の支配への取り組みで知られる民主主義国家です」
「ガザでは、イランがその存在を支え、駆り立て、資金提供をしている複数のテロリストのグループにより、何千発ものロケット弾がイスラエルに向けて発射されています。これらのグループは米国がテロ指定しています。これは党派的な問題ではないのです」
「米国は黙っている余裕はありません。バイデン氏には、公の場で一切妥協することなくイスラエルの立場に立ち、米国は国内外を問わずいかなる形態のテロも容認しないという立場であることを明確にすることを求めます」