2年前の参院選で公職選挙法違反(買収など)の罪に問われている元法相の河井克行被告(58)が、23日に行われた被告人質問で、これまでの無罪主張を一転させ大半の買収を認めた。買収を認めた経緯についても語り、20年以上交流がある神父の言葉で決意を固めたことを明かした。
克行被告は、妻の案里前議員(47)=有罪確定=が当選した2019年7月の参院選広島選挙区で、地元議員ら計100人に計約2900万円を渡したとされている。昨年6月に逮捕され、裁判は同年8月から行われているが、今月3日になってようやく保釈が認められ、保釈金5千万円を支払い約8カ月ぶりに東京拘置所を出ていた。
被告人質問を詳報している産経新聞によると、保釈後間もなくして、20年以上交流がある教会の神父から激励の電話があったという。神父からは「自分の内面に誠実に向き合ってください」と言われたとし、この言葉で買収を認める決意を固めたと述べた。
克行被告は、イエズス会が設立母体である広島学院中学・高校の出身。母親の聡子さんが05年に死去した際には、葬儀・告別式がカトリック祇園教会(広島市)で行われており、克之被告が喪主を務めていた。ローマ教皇フランシスコの訪日決定を伝える公式ブログの記事では、05年に前教皇ベネディクト16世が就任して以来、それまでに計6回にわたりバチカンを訪問し、教皇訪日を要請してきたことを明かしている。そこでは「教皇訪日の成功には、日本のカトリック教会と日本政府とバチカン教皇庁による文字通り『三位一体』の取り組みが必要です」などとつづっていた。
一方、克行被告はこの日、買収はおおむね認めたものの、案里前議員との共謀については「天地神明に誓ってない」と強く否定。選挙陣営関係者に金を渡したことも、買収には当たらないとして無罪を主張した。また、衆院議員を辞職する考えも明らかにした。
NHKによると、23日から始まった克行被告の被告人質問は、4月9日までに計9回が予定されている。