来年創刊50週年を迎える米進歩派キリスト教誌「ソージャナーズ」の創設者であるジム・ウォリス氏が、同誌から退くことを発表した。今後は、カトリック系の米名門ジョージタウン大学でフルタイムのポストに就くという。
同誌は18日、ウォリス氏と後継者のアダム・ラッセル・テイラー氏による発表(英語)をウェブサイト上に掲載。ウォリス氏は、今後は執筆や講演活動、次世代教育などにより時間を割くことができるとし、「重要な時期に信仰と市民生活の接点について、私の声を発信し続けていく」と語った。その上で、同誌が今年72歳となる自身を「超えて長く続いていくことを望んでいる」と期待を込めた。
発表によると、ウォリス氏は来年7月から、ジョージタウン大学のフルタイム職員として勤務することになる。これは同大のジャック・デジオイア学長の依頼によるもので、ウォリス氏は同大で「信仰、市民生活、共通善の交差点」になるような新しいセンターの創設に取り組むという。
ウォリス氏の後継者として会長に就任したテイラー氏は、ハーバード大学の公共政策大学院であるケネディスクールの出身。2001年からソージャナーズの理事を務めており、牧師でもある。黒人の母と白人の父を持ち、ウォリス氏は「テイラー氏の個人的な背景、学識、幅広い経験、ビジョン、使命感、黒人教会での聖職者としての経験は、彼がアフリカ系米国人初の会長としてソージャナーズを導くための素晴らしい備えだと信じている」と語った。
一方、米宗教専門のRNS通信(英語)によると、ウォリス氏はこれに先立ち8月、同誌に掲載されたカトリック教会内の白人至上主義を批判する評論を削除したことで批判を浴び、編集長としての職を退いている。
評論は、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)講師のエリック・マーティン氏によるもの。同誌の紙媒体とウェブサイトの両方に掲載されたが、カトリック指導者らからの批判を受け、ウェブサイトからは削除された。この対応は同誌内部でも議論を起こし、同誌のウェブ編集者2人が辞職する事態になった。評論はその後、一部訂正が加えられた上で再掲載されたが、ウォリス氏も削除は間違えた判断であったことを認めた。
RNS通信の別の記事(19日付、英語)によると、ウォリス氏の会長退任は12日に行われた理事会で決まった。ウォリス氏は今後も、ソージャナーズの創設者また大使としての肩書は保持するという。