教団機構の改定が、日本基督教団で重要な検討課題となっている。新型コロナウイルスの影響で1年延期となった次期教団総会での議案提出に向けて、課題についての認識と理解を深めてもらおうと、教団伝道対策検討委員会は、すでに提示している検討資料に基づくQ&Aの原案を教団ホームページで公開した。質問や意見を広く募集し、より良い改定案提出につなげたい考えだ。
2月の常議員会では、機構改定に関する教規変更案の素案を承認。素案と関連資料を各教区総会などに提示し、検討と意見を求めることにした。ところが、新型コロナウイルスの影響で多くの教区では議員が一堂に会しての総会を開催できておらず、機構改定についての実質的な協議を行えていないのが実状だ。各教区における本格的な協議は来年春の次期教区総会となる見込みで、同委はそれに合わせて検討資料に基づいたQ&Aの配布を計画。あらかじめQ&Aの原案を公開することで質問や意見を募り、最終的には適宜改定を加えた決定版を印刷物として配布する予定だ。
Q&Aは、A)全体像として、B)教団総会・常議員会について、C)事務局・委員会の改変について、D)教務局について、E)伝道局について、の5つの項目に分かれ、それぞれ5つほどの質問に答える形となっている。
「今なぜ機構改定をする必要があるのか」(A)については、各教会の経済的状況が厳しくなる中、教区からの負担金が年々減少していることに触れ、「2020年度前後には教区からの負担金によって経常会計を維持することが困難になるとの見通しが予算決算委員会から提起され、機構改定が検討されることになりました」などと答えている。
「どうして教団総会議員を減らす必要があるのか」(B)については、現行教規の議員数400人規模の会議を行うためには、教会以外の場所を会場とするしかなく「会場費などに多額の経費がかかる」と指摘。「議員数が削減されれば、会場費だけでなく、交通費や教区が負担することが多い宿泊費など、様々な費用の削減が見込まれます」などと説明している。
改定案では、教団の事務局と審査機関を除く各常設委員会(宣教委員会、教師委員会、予算決算委員会、世界宣教委員会)の働きを、教務局と伝道局の2局に整理し、集約することを提案している。「どうしてそのような改定が必要なのか」(C)については、教団の経費の大部分を人件費が占めており、「今後人員体制を見直していくことを考えるならば、どうしても教団の活動そのものを見直していく必要があります。そのために、活動の整理や効率化を図る目的で、教団機構の見直しが必要となります」と回答している。
「教務局の組織はどのようになるのか」(D)については、総務部、対外部、財務部、教師部の4部を置くこととし、それぞれの部が担う働きについて説明している。また、「伝道局はどのような役割を担うのか」(E)については、これまで宣教委員会とその下にある専門委員会で担ってきた働きを、おおむね伝道局が担うことになると説明。ただし、これまでと同じ働きを担うことは教団の現状から考えて難しく、整理する必要があるとし、「単なる活動の縮小ということではなく、他団体との連携や教区主体の働きへの支援、課題を限定したプロジェクトチームの設置など、新しい形での活動の展開の機会となることを期待しています」などと回答している。