ロシアで許可なく宣教活動をしたなどとして、2020年上半期に計40の個人や団体が起訴され、うち36件で有罪が言い渡された。4年前に施行された教会外での宣教活動を違法とする行政法第5条26項(伝道規制法)によるもので、ノルウェーの人権組織「フォーラム18」が明らかにした。
有罪となった人のうち4人は外国人。このうち2人は国外退去を命じられ、強制送還のために移民収容センターに送られたが、そのうちの1人であるタジキスタン国籍のフェイザリ・ホルムロドフさんは、今年2月に有罪判決を受けてから半年が経過した今も、新型コロナウイルスの影響でタジキスタンとの国境が閉鎖されていることから、勾留が続いているとみられている。
フォーラム18によると、今年1月から6月の間に伝道規制法によって起訴されたケースは、これまでに比べわずかに減少した。これは、新型コロナウイルスの感染防止のために行われている各種の規制による影響の可能性が高いとみられている。
2020年上半期に有罪となった主なケースは以下の通り。
● バプテスト派の宣教団体の指導者であるアナトリー・チピルカ氏(ロシア南部クラスノダール在住)は、司法省に団体の届け出を出さず、詳細は明らかではないものの、宣教活動を行ったとして、5千ルーブル(約7千円)の罰金を命じられた。
● 同じくバプテスト派のリュドミラ・アキメンコ氏は、(届け出済みの)宗教団体からの許可や、司法省に宗教団体の届け出をすることなしに、通行人に宗教的な文書を配布したとして、カザフスタンとの国境に近いオレンブルクの裁判所から5千ルーブルの罰金を命じられた。
● 北コーカサス地方のアディゲ共和国にある無登録のプロテスタント教会を牧会している牧師のコンスタンチン・ナザロフ氏は、地域の住民を礼拝に招待したが、当局に宗教団体の届け出をせずに宣教活動を行ったとして、5千ルーブルの罰金を命じられた。
● タタールスタン共和国のカトリック団体「聖ピオ十世会」の指導者であるニキータ・グラズノフ氏は、(届け出済みの)宗教団体からの書面による宣教活動の許可を持たない「外国人説教者」を招待し、ホテルの会議室でラテン語のミサを開催したとして起訴された。
● ペンテコステ派の牧師であるアナトリー・フェオクティストフ氏は、ロシア中西部チェリャビンスクにある住宅内で日曜礼拝を行ったとして、5千ルーブルの罰金を命じられた。