プロの俳優も出演する乳がんサバイバーによる創作劇「ブレストウォーズ 恋する標準治療!」(ブレ恋)が来年3月、横浜で公演される。日本人女性の10~12人に1人が患う乳がん。しかし、乳がんに関する知識はそれほど広くは知られていない。講演会やイベントによる啓発活動はこれまでも行われてきたが、乳がんサバイバー自身が演劇の形で発信するのはこれが初めてだという。2年半前に乳がんと診断され、右乳房を全摘出した鹽野佐和子(しおの・さわこ)さんが、脚本家・出演家としての経験を生かして創作した。今年9月から12月にかけて、公演に向けた全10回のワークショップが行われる予定で、現在参加者を募っている。
ブレ恋の舞台は横浜。48歳の誕生日に乳がんの告知を受けた主人公の女性が、葛藤しながらも成長し、自分に最適な治療方法を「この人」と思う医師と共に選び取るまでをラブコメディーとして描く。劇では、架空の患者ハウスを同市西区の野毛山に置き、主人公以外にも、乳がんを患う別の女性2人が登場する。3人の女性が織りなす物語が涙と笑いを誘う、歌あり、ダンスありの舞台。
乳がんは、乳房再建術に多くの手段があるなど、治療が複雑なのが特徴だ。患者たちは予備知識もなく情報も得難い中で、「胸を切り落とす」という女性として非常につらい状況に身を置かなければならない。そのためブレ恋では、乳がんの啓発だけでなく、乳がんサバイバーたちも劇に参加し共に作り上げることで、サバイバーたち自身が輝ける場を提供することも目指している。
劇には、元劇団文化座の皆川和彦、「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のファイナリストである福田雄也も出演。ワークショップでも指導に当たる。乳がんサバイバーだけでなく、家族や友人ら、趣旨に賛同する人は演劇経験を問わず参加可能で、クリスチャンの鹽野さんは次のように話している。
「9月から12月はクリスチャン、特に女性にとって忙しい時期ですね。このワークショップは土曜日の午後、月3回で、忙しい女性たちに『自分のためのゆるくて有意義な時間』をもってもらえるように配慮して日程を組みました。コロナ禍の今だから、あるいは人生の今だからやれることに手を伸ばしてほしいと思います。主に背中を押されていると感じた時がチャンス。私もそう感じてこの事業に挑戦しています」
ワークショップの詳細は下記の通り。申し込みは、ブレ恋の公式サイト、またはPEATIXで。ブレ恋は、プレミア上演が3月19日(金)、公演が同20~21日(土・日)に、みどりアートパーク(横浜市緑区民文化センター)で行われる。
■ ブレ恋ワークショップ概要
日時 | 2020年9月〜12月 土曜日午後1時半~4時(全10回) 9月:5日・12日・26日 10月:10日・17日・31日 11月:7日・14日・28日 12月:12日 |
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会場・共催 | みどりアートパーク(横浜市緑区民文化センター) 東急田園都市線・JR横浜線長津田駅徒歩4分 |
対象 | 乳がんサバイバー、その家族、友人。性別不問。中学生以上。 |
受講料 | 大人28600円、シニア(60歳〜)23100円、中高生22000円 |
教材費 | 2000円 |
問い合わせ | メール([email protected])、電話(090・1262・5520、担当:一宮均) |
※ 定員割れの場合のみ単発受講あり。その場合の受講料は1回当たり、大人4000円、シニア3500円、中高生3000円(教材費別)。
※ 新型コロナウイルス感染防止のため、会場のリハーサル室は定員に対して半数の人数で使い、ソーシャルディスタンスを保ち、レッスン前、休憩中に換気を行う。参加者には入室前に手洗い・消毒、マスクやフェイスシールドの着用をお願いする。発熱などの体調不良がある場合は参加不可。
※ 料金はいずれも税込み。