多くのクリスチャンが、他者の助けを借りずに聖書を理解することに苦労していることが、最近の調査で明らかになった。
米世論調査機関「ライフウェイリサーチ」が、米国内のプロテスタント信者約千人を対象に行った調査(英語)で、約6割(57%)が、聖書を一人で読んで理解するのは難しいと回答した。
ライフウェイリサーチのスコット・マコーネル所長は、「教会に通う人たちは、聖書が真実であり、確かな道徳的基準であると擁護する準備はできています。しかし、ほとんどの人は聖書を読むとき、具体的な意味を理解するのにつまずいてしまうことを認めているのです」と話す。
また「Explore the Bible」(英語)のドウェイン・マクラリー氏は、「(聖書を)個人的に読み、学ぶことは重要ですが、発見したことを考え抜くためには、他者の助けが必要です。一緒に学ぶことで、他者から洞察を得ることができ、それが私たちの学びを前進させることにもつながります」と語る。
このように多くの人が聖書を一人で理解するのは難しいとする一方、10人に9人(90%)は、それぞれの聖句が自分自身にどのように関係しているのか理解できると答え、4人に3人以上(81%)が、聖書の真実性に疑問を持っている人を助けることができると自信を持っている。
一方、高齢のクリスチャンの方が聖書を理解するのに、難しさを感じていることも分かった。65歳以上のクリスチャンの約5人に1人(19%)が、聖書の真実性に疑問を持つ人に答える自信がないと回答し、同じく5人に1人(20%)が、聖書の意味について迷っている隣人がいたとしても、自分は助けることができるとは思わないと答えた。
この他、回答者のほぼ全員が、聖書の書かれた文脈を理解することが重要だと答え(96%)、その意味は今日の文脈に適用されるべきだと答えた(93%)。しかし、大多数(82%)は、神の言葉の真理は人によって異なる意味を持つ可能性があると感じていることも分かった。
マクラリー氏は、人が聖書の意味を理解し、その適用を考えるには、より多くの時間を費やす必要があると述べた。
「もし私たちが、御言葉を適用することにいきなりジャンプしてしまうと、その聖句を適用すべき方向を指し示してくれる原則や真理を見落としてしまう危険性があります」
「私たちは、語られていることの背後にある原理や真理を考えることを忘れ、御言葉に書かれていることから、その応答として私たちがすることへジャンプしてしまう傾向があります」
「聖書を正しく学ぶには時間と熟考が必要ですが、それによって変わることのない(聖書の)意味を理解することができ、それ故、私たちが今日、どのようにして神に出会えるのかを見ることができ、その出会いに対する私たちの応答がどうあるべきかに目を向けることができるのです」
一方、聖書の一部は受け入れるが、それ以外の部分は受け入れないと回答した人も30%いた。また、文化の変化に伴い聖書の一部は時代遅れだと感じていると回答した人も24%おり、そう考える人は18~34歳の間で最も多く、この年代層の3分の1以上(36%)がこの意見に賛同した。
これについてマコーネル氏は、「神の言葉に基づいていると主張する宗教(キリスト教)にとって、これほど多くのクリスチャンが自分たちの信仰において、(神の言葉ではなく)自分たちの言葉を優先させていることは驚くべきことです」と述べ、「絶え間なく変化する世界において、一部の人にとっては、不変の真理の源である聖書の主張を受け入れることは難しいのです」と語った。