人が行き交い、笑顔がこぼれるカフェをコンセプトに、主イエスの恵み教会(神奈川県茅ヶ崎市、小池早苗牧師)が6月8日、教会建物の1階スペースに「CROSS CAFE」をオープンした。愛犬と食事を楽しめるドックカフェも併設しており、早くも地元愛犬家たちを中心に、地域の憩いの場となっている。店長の中村真実さんは、「おいしい食事と温かいふれあいの中で、神様からの愛を感じて癒やされてほしい」と話す。
ナチュラルな木目と白を基調とした明るく開放的な店内には、静かに音楽が流れるくつろぎの空間が広がる。良質な食材にこだわりながらも、地元の人々に気軽に来てもらいたいとメニューは低価格に設定。素材の旨味(うまみ)を引き出して調和させる健康志向のメニューが人気を呼び、少しずつリピーターを増やしているという。
おすすめのメニューは、和風だしを隠し味に使ったツナと大根おろしのパスタと、素材にこだわったほうれん草とベーコンの和風パスタ。もちもち感のあるパスタに、大葉とレモンのアクセントがやみつきになりそうだ。デザートは抹茶のティラミス。鎌倉の老舗「枝村園」から取り寄せた抹茶と国産ラム酒が香るボリューム感のある一品だ。
中村さんは2018年12月に信仰を告白。クリスチャンになるまでは、いわゆる「スピリチュアル系」の世界を信じ、この世の動きを司るものは何かを知りたいと思っていたという。スピリチュアル系の世界に入って間もなく、カフェを始めてみないかと提案されたことがあった。しかし、開店の準備をしている矢先、交通事故に。けがの後遺症で、立ち仕事も重い荷物を持つこともできなくなってしまった。「いつかカフェができたら、という思いも忘れてしまうくらい、当時の私には希望がありませんでした。そんな私の人生が変わり、諦めていた夢が私の考えを超えて動き出したのは、イエス様を信じてからでした」
クリスチャンになって間もなく、ある額の献金を祈りの中で示され、教会にささげた。するとすぐに、今とは違う別の場所でカフェを開店する話を持ち掛けられ、準備を始めることに。ところが、今度は開業予定だった物件の貸主の都合で話が頓挫してしまった。そんな時、教会1階にあった和食レストランが撤退。急きょ、今の場所が与えられた。
前の店舗ではなかなか進まなかった入居工事が、わずか1カ月半ですべて完了。新型コロナウイルスの影響もあり、銀行からの融資も満額下りた。さらに、ペンテコステの記念日でもあったプレオープンの5月31日には、県の外出自粛要請も解除されていた。中村さんは開店までの経過を「奇跡的でした」と振り返る。「すべて主がなされていることだと実感しました。もし前の店舗の話がそのまま進んでいたら4月オープンだったため、自粛要請の中での営業になっていました」
店名の「CROSS」は、イエス・キリストの十字架を意味すると同時に、「人が交差する」という意味も込めている。「以前の私がそうだったように、魂に飢え乾きを覚える、神様をまだ知らない方々が自然と主に触れていただく空間をイメージしています。そして、おいしい食事と温かいふれあいの中で、主からの愛と喜びを、スタッフ同士はもちろん、お客様にも伝えていきたいという思いを込めています」
オープンして10日目、子ども連れの一人の女性が来店した。コロナ禍の中で思い悩むうちに聖書にたどりついたものの、一人ではどのように読んでいいか分からず、聖書についてもっと知りたいと涙ながらに話したという。店内にいた小池牧師が話を聞き、その場で信仰告白に至った。先週もまた別の一人が信仰告白に導かれたという。「まさに、主と人が交差する『CROSS CAFE』の名前の通りです。主が生きて働いておられるのを見て、とても感動しました」
スタッフは全員、教会のメンバー。「CROSS CAFE」のロゴも、サイクル・アーティストとして活躍する教会メンバーの谷信雪さんがデザインした。谷さんは、映画「OVER DRIVE」(東宝)で使用された自転車を手掛けたほか、NHK「ふるカフェ系 ハルさんの休日」、日本テレビ「ぶらり途中下車の旅」、テレビ東京「出没!アド街ック天国」など数々のメディアで工房が紹介されており、茅ヶ崎市民ギャラリーや茅ヶ崎美術館などで個展も行っている。カフェの入り口には、谷さんオリジナルデザインの自転車も展示中だ。店の内装は、教会メンバーで工務店を営む夫妻が担当。家具もオリジナル家具を手掛ける教会メンバーの夫に依頼し、椅子の張り地など細部にまでこだわったオーダーメイドでそろえることができた。
中村さんは「これからも新しいメニューの開発や、楽しんでいただけるような空間づくりに励んでいきたいと思っています。おいしい食事と癒やされる空間をご用意してお待ちしております」と話している。
営業時間は午前11時半から午後7時半。定休日は毎週日曜と月曜。カフェでのイベントやライブも企画中で、公式インスタグラムや公式フェイスブックで随時情報を発信していくという。
■ サイクル・アーティスト谷信雪さんのウェブサイト
■ 店内の家具を担当したオリジナル家具「シーウインド」のウェブサイト