神は人をご自身のかたちとして創造された。(創世記1章27節)
ある人がオークション会場から帰ってきました。妻が「何かお気に入りのものがありまして」と聞くと、この人は憤慨しながら言いました。「まったく人をバカにしているよ。今日の目玉商品はあのアブラハムの頭蓋骨だって言うじゃないか」
「あら、ステキじゃない。あなた、聖書関連のものを集めるのが趣味なんだから」。「バカ言うな。アブラハムの13歳の時の頭蓋骨だぞ」。「それはおかしいわね」。「ダロー!だって本物はすでにオレが持っているんだから」(ちなみにアブラハムは175歳で亡くなっています。)
もう一つ、本当にあったオークションの話です。昔、ロンドンの切手専門のオークション会場で起こったことです。その日、世界的に有名な切手愛好家たちが集まって、当時のハイライトである世界に2枚しかないという切手の一枚のオークションが行われたのです。一人の紳士が、その一枚の切手を50万ポンドという当時では考えられないような高値をつけてせり落としました。会場は驚嘆の声をあげました。
しかしこの紳士は、会場の人々に向かって「皆さん、私はたった今、この切手を落札しました。これは私のものです」と言いながらポケットからライターを取り出して、皆の見ている前でその切手に火をつけたのです。
見ていた人たちは、びっくりして止めさせようとしましたが、この小さな切手はあっという間に燃えてしまいました。そしてその紳士は言いました。
「私は今、50万ポンドを灰にしました。しかし実は私は、これと同じ切手をもう一枚持っています」。そう言って、その一枚を皆に見せました。そして「この切手は、今や正真正銘、全世界で一枚のかけがえのないものとなりました」と言ったのです。
かけがえのない存在。それはその「ユニーク性」にあります。残った一枚は全世界でたった一枚のお金に換算できないほど貴重なものになったのです。実は私たち一人一人は、神によって創造された世界でたった一人のユニークな存在です。切手などはるかに及ばないほど価値ある存在です。ユダヤ人のことわざに次のようなものがあります。
「人より優れた者になろうと思うな。人とは違った者になれ」。これはナンバーワンを目指すより、オンリーワンを目指しなさいということです。ナンバーワンを争う世界では、勝利者はただ一人ですが、オンリーワンの世界では全員が勝利者となることができるのです。
考えてみれば、私たちは世界人口75億人の中のたった一人のユニークな存在です。過去にも存在しなかったし、これからも存在しません。まさしく私たちは「歴史始まって以来の人物」なのです。たった一人という「ユニーク性」がどんな価値があるか分かりますか。一回しかない人生。自分にしか送れない人生。自分以外の誰もできないことがあるのです。
人生とは、全世界でたった一人しかいない自分のユニーク性を十分に生きることです。
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