米ニューヨークのメガチャーチ「リディーマー長老教会」の創設者で、著名な執筆家でもあるティム・ケラー牧師は、教会は新型コロナウイルスの影響で財政的な打撃を受けているが、同時に地域のニーズも増大しているとして、限られた財源で地域住民に仕える術を見いだす必要があると語った。
ケラー氏は、4月22~23日に開催されたキリスト教団体「Qアイデア」が主催する「Q2020バーチャル・サミット」で、教会は新型コロナウイルス禍において、地域奉仕の点でこれまでとは異なる考え方をすべきだと語った。
ケラー氏は、現在の新型コロナウイルスによる状況と、米同時多発テロ事件(9・11)発生時の状況には類似点があると指摘。当時、リディーマー長老教会の収入は4分の1にまで減少したことを明かし、「キリスト教の組織は、(新型コロナウイルス禍により)より少ないリソースでより多くのことを行う必要に直面することになるでしょう」と語った。
9・11の時、「(助けを必要とする)人の数とそのニーズは大幅に増大しましたが、人々が職を失い、ニューヨークを離れたため、(教会の)収入は非常に不足しました」とケラー氏。現在の新型コロナウイルス禍においても、まったく同じ状況があるとし、他の教会の状況も踏まえて次のように語った。
「私が知っているすべての教会は、『より少ないリソースで、より多くのことをしなければならない。私たちははるかに多くのニーズを抱えており、それを行うためのリソースは少ない』と言っています。そして、それはスチュワードシップへの新しいアプローチだけでなく、自分たちのお金を何に使うかについても考えることを意味します」
ケラー氏は、現在の状況が今後どうなるか分からないと認めつつ、パンデミックがどのような展開を迎えようとも、「革新的な思考」に加え「さらなるネットワーク作りと対話」が必要だと述べた。
また「収入は減少するが、ニーズは増加する」という状況において、牧師の給与を削減することや、地域の人々のニーズに焦点を合わせるため、教会が幾つかのプログラムを縮小する必要があることも示唆した。
「2番目に言いたいことは、みなさんは常に犠牲を通して人々をリードしていくということです」
「一般的に教会は、それ自体、つまり自身のプログラム(礼拝などの諸集会)に多かれ少なかれお金を費やす必要があり、また、より多くの必要のある人々にお金を費やします。そして、(今の状況において)そうする唯一の方法は、皆さんが今していることをカットすることです」
「それは、地域社会のニーズを満たすことができるように、自分の給与の一部を犠牲にすることを意味するのでしょうか。それは、私には分かりません。しかし、リーダーシップは常に、革新と犠牲を通して起こります。そしてこの1、2年は、これら両方を行わなければならないでしょう」