キリスト教信仰を理由に迫害されている世界のクリスチャン、教会のために祈ろうと、毎年11月第1、第2日曜日は「迫害下にある教会のための国際祈祷日」(IDOP)として定められている。今年は11月3日と10日で、世界福音同盟(WEA)や国際的な迫害監視団体、また日本では、WEAに加盟する日本福音同盟(JEA)などが参加を呼び掛けている。今年は特にインドにおける迫害が主要トピックとなっており、インドのための具体的な祈祷課題が挙げられている。
WEA信教の自由委員会が作成した祈りのガイドによると、インドのクリスチャンに対する迫害はここ最近、飛躍的に増加しており、これらは主に過激なヒンズー国家主義者によるものだという。ガイドは「インドの兄弟姉妹たちは世界のクリスチャンに共に祈ってほしいと要請しています」とし、インド政府や為政者のため、また特に圧力が強いヒンズー教から改宗したクリスチャンや教会指導者のためなど、8つの祈祷課題を挙げている。
迫害監視団体「米国オープン・ドアーズ」のインドに関する資料(英語)によると、同国では2014年に現在のナレンドラ・モディ首相が政権を取ってから、クリスチャンに対する暴力事件が増加し始めた。特に16年以降に急増し、14年に報告された暴力事件は147件だったのが、17年には665件にまで増加。現地団体の報告によると、2018年には殺人14件を含む775件が発生した。米国オープン・ドアーズが迫害のひどい上位50カ国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト」では、インドは13年には31位だったが、年々上がり続け、19年には10位まで上昇した。特に中部のチャッティスガル州とマハーラーシュトラ州で多くの暴力事件が起きている。
インドは人口の72・5パーセントがヒンズー教で最も多く、次いでイスラム教が14・4パーセント。キリスト教は4・8パーセントで、同国では少数派となっている。ワールド・ウォッチ・リストのインドに関する項目(英語)によると、過激なヒンズー教徒らは、インド国民はヒンズー教徒であるべきだと考え、他宗教の信者をインド国民とはみなさず、暴力的な方法を用いて攻撃してくるという。昨年1月には、過激なヒンズー教徒からの妨害行為を警察に通報した牧師がその1週間後、自宅の屋根につるされ死亡している状態で発見される事件も発生している。
WEA副総主事で同信教の自由委員会委員長のゴッドフリー・ヨガラジャ氏は呼び掛け文(英語)で、世界では1億人以上のクリスチャンが日々迫害に直面していると指摘。特に昨年は、ナイジェリアやインド、スリランカ、ブルキナファソでひどい暴力事件があったとし、「ある国々では、クリスチャンたちは家を追われ、また別の場所では、社会的に孤立し、差別を受け、信仰のために殺されることさえあります」と、祈りの必要性を訴えている。
今年のテーマ聖句は「一つの部分が苦しめば、すべての部分がともに苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分がともに喜ぶのです」(コリント一12:26、新改訳2017)。JEAの公式サイトでは、WEA信教の自由委員会作成の祈りのガイドが日本語で公開されている。この他、英語であれば、動画や説教のアウトラインなど各種資料が、米国オープン・ドアーズの公式サイトなどで公開されている。