日本キリスト教協議会(NCC)平和・核問題委員会は同29日、先月25日に横須賀基地に入港し、同基地を事実上の母港とした米国海軍の原子力航空母艦ジョージ・ワシントンの入港と同港の母港化に抗議し、撤去を求める申し入れを平良愛香委員長の名で行った。申し入れの内容は今月8日、NCCのホームページ上で公開され、今回の入港と母港化は「市民の民意を無視してきた日本政府の米軍追従の姿勢がもたらした」としている。
同空母は油を燃料とする通常型空母キティホークの後継として配備され、1973年に米空母ミッドウェーが配備されて以来、日本に配備された空母としては初めての原子力空母。当初は8月19日に入港予定であったが、今年5月に乗員によるたばこの不始末を原因とした火災が発生し、遅れての入港となった。
NCCは申し入れ書で、5月の火災や原子力潜水艦ヒューストンの横須賀、佐世保、沖縄における放射能漏れ事故などを挙げ、いずれも詳細な調査報告の公開や説明が行われなかったと指摘。今回の入港及び母港化が、米国の「重大な事故は起きない」という言葉を鵜呑みにしたものだと非難した。
同空母の入港時には、安全性を懸念する市民団体らが早朝から抗議集会を開くなどしていた。NCCは、「原子力空母が東京湾に常駐することは、横須賀だけでなく、首都圏全体の住民への脅威」だとしている。
同空母は、韓国・釜山で7日行なわれた同国の建国60周年を記念する国際観艦式に出席するため1日に横須賀を出港し、現在は釜山で寄航している。共同通信によれば、同空母を中心とする第5空母郡のリチャード・レン司令官は8日、釜山で報道陣の取材に応じ、今後半年から1年以内に地元市民らに空母を一般公開する考えがあることを明らかにし、「われわれの原子炉の基準は世界最高水準であり、横須賀であろうと米本土であろうと変わらない」と同空母の安全性を強調した。
NCCによる同空母の撤去などを求める申し入れは、麻生太郎首相、中曽根弘文外務相に宛てて出された。