ブラジル最大の都市サンパウロで6月20日、第27回「マーチ・フォー・ジーザス」が開催された。プロテスタント福音派の信者を中心に300万人が街に繰り出し、ブラジルで大きな問題となっている汚職撲滅などのために祈り、福音を宣言した。
欧州のキリスト教メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)によると、マーチ・フォー・ジーザス・ブラジルのエステバン・エルナンデス会長は次のように述べた。
「私たちはブラジルと家族のために叫びます。政界の汚職撲滅のために叫びます。そして、苦しむ人のために叫びます。この国はイエス・キリストのものです。すべての栄誉と栄光、権力と威厳が主にありますように。『いかに幸いなことか、主を神とする国』と、詩編33編12節にあるとおりです」
今年は、ブラジルの全26州ほぼすべてから4千余りのキャラバン隊が参加。ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領も、現職の大統領としてはイベント史上初めて参加した。
自身はカトリック教会に所属するが、妻と子どもたちはプロテスタントであるボルソナロ氏は、約7分間にわたり群衆に語り掛けた。
「皆さんのご支援でブラジルの運命が変わりました。仲間と共にいるというのは非常に良いことですが、神を信じる仲間というのは格別です」
「(ブラジルは)世俗的ですが、現在の指導者はクリスチャンです」とボルソナロ氏は続け、信者たちの助けを借りて、自身がブラジルを悩ませる「倫理と道徳」の問題を解決する転換点になりたいと語った。
ブラジルでは近年、政治家の汚職が大きな問題となり、歴代の大統領や高官などの政府最高レベルによる汚職が数々の調査で明らかになった。また、その結果として多くの政治家が逮捕され、懲役刑を科されている。
今年1月1日に就任したボルソナロ氏は、率直な物言いや保守的な政策、大衆へのアピールという点で、米国のドナルド・トランプ大統領と事あるごとに比較されている。
マーチ・フォー・ジーザスにはこの他、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事やサンパウロ市のブルーノ・コバス市長らも参加。ドリア氏は「これはイエスのための行進ですが、サンパウロとブラジルを愛する人々の調和と理解の行進でもあります」と述べた。
マーチ・フォー・ジーザスは、サンパウロにある福音派のメガチャーチ「キリスト新生教会」が主催する。他の教会も協賛する形で参加し、サンパウロで毎年行われており、現在では南米最大のキリスト教イベントとして定着している。
今年のテーマは、テモテへの手紙一2章6節にある使徒パウロの言葉「この方はすべての人の贖(あがな)いとして御自身を献(ささ)げられました」から、「すべての人の贖いの代価」。この日は、ブラジル人ゴスペル歌手やアンサンブルも参加し、10時間余りにわたる礼拝も行われた。
ブラジルは、歴史的には人口の大半がカトリック信者のカトリック国家だが、近年はプロテスタント信者が急増。「新興プロテスタント国家」とさえ言われており、2010年の国勢調査では、人口の約22パーセントがプロテスタントだと回答している。その多くは福音派やペンテコステ派で、国会議員に占める割合も増えている。