米サウスカロライナ州にある小さな町で、キリスト教の教会堂がわずか「1日」で建てられた。これは教会が所属する教団挙げてのプロジェクトで、これまでに130軒以上の教会が「1日」で建てられてきたという。
同州デンマークに「1日」で建てられたのは、ペンテコステ派の教会「キリスト・ファミリー・センター」の会堂。10月26日朝に約300人のボランティアが集まり、平屋建ての会堂を約1日かけて建て上げ、28日にはこの新たな「礼拝の場」で最初となる日曜礼拝を持った。
これは、同教会の所属教団である「ユナイテッド・ペンテコステ教会」(UPCI)の北米宣教部が提供する「教会を1日で」(Church in a Day=CIAD)と呼ばれるプロジェクトによるもの。CIADの責任者を務めるテリー・ロング牧師によると、CIADは1980年代に始まり、キリスト・ファミリー・センターは同プロジェクトで会堂が建てられた138番目の教会だという。来年はさらに少なくとも5軒の会堂建築が予定されている。
ロング氏によると、CIADの働きはどれも「信じられないほど組織化されており、コーディネートが行き届いた取り組み」だという。一方、「1日」といっても、実際には24時間ではなく、26時間から30時間ほどかる。ロング氏は、この働きについて次のように説明する。
「牧師先生と教会には土地購入の責任を持っていただきます。UPCIは地方自治体の建築基準法と土地利用規制条例を調べます。まず初めにコンクリートを流し込み、土台を造らなければなりません。主要となる業者から数人の作業員が数日早めに現場を訪れて、計画を立てたり、下準備を進めます。
大勢のボランティアが金曜日の午前7時に現地に集合し、土曜日の正午ごろには牧師先生に会堂の鍵を手渡します。その時にはもう、外庭や冷暖房設備、内装や音響システムも含め、建築作業は完了しています」
CIADによる建築計画には、2種類のタイプがある。一つは「全国プロジェクト」と呼ばれるもので、UPCI所有の教会融資基金(CLF)が関わる。CLFは低利子の融資を地域教会に提供するが、その資金はUPCIの献金計画に参加する人々の献金で賄われており、UPCIが融資の監督とコーディネートを行う。
もう一つは「地区プロジェクト」と呼ばれるもので、現地の牧師と教会がプロジェクトの計画段階で参加し、教会が自ら資金調達を行う。ただし、建築作業はUPCIが監督する。
キリスト・ファミリー・センターの場合は「地区プロジェクト」によるもので、ロング氏によると、UPCIが担当したのは、計画立案と設計図の作成、建築資材の資料の提供と建設プロジェクトに関わる22の業者のコーディネートだった。
「キリスト・ファミリー・センターは3年ほど前に土地を購入しました。その後、毎週2日間は時間を割いて工芸品を作り、週末にはサウスカロライナ州や周りの州の工芸品フェアにそれを売りに行きました。その努力により、約23万5千ドル(約2650万円)の建築資金を調達できました。後は追加で5万ドル(約560万円)集めるだけで済みました」とロング氏は言う。
キリスト・ファミリー・センターのロバート・スナイプス主任牧師は地元テレビ局「WJBF」(英語)の取材に対し、会堂の完成は「夢の実現そのもの」だと述べ、次のように語った。
「この教会が地域の皆さんのためにここに存在すること、また私たちは皆さんに仕え、できる限りのことをして皆さんを支えるためにここにいること、そして神が皆さんの神であることを知ってもらうためにここにいることを知っていただきたいです」