インドネシアのスラウェシ島北部を震源として9月28日に発生した地震と津波により、バイブルキャンプに参加していた子どもたち少なくとも34人が死亡した。インドネシア赤十字の救援隊が2日までに、土砂崩れにのみ込まれた教会施設の中から、がれきに埋もれた子どもたちの遺体を発見した。
米ABCニュース(英語)などによると、子どもたちは、スラウェシ島北部パル近郊の人里離れた地域にある教会施設で行われていたバイブルキャンプに出席していたとみられる。このバイブルキャンプでは、参加していた86人が行方不明となっており、犠牲者の数は今後も増えると見込まれている。
今回の地震では、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・5を記録し、最大高さ約6メートルの津波が発生した。死者は5日までに1550人を超えた。
インドネシア赤十字の広報担当者アウリア・アリアニ氏によると、大きな被害が出た同島北部のシギ県には重機がないため、教会施設のがれきを除去し、生存者や犠牲者を捜索する手段がないという。アリアニ氏はAFP通信(英語)に対し、「問題なのは、遺体を救急車に運ぶのに1時間半もかけて泥の中を歩かなければならないことだ」と語った。
最も多くの死者が出ているのは、首都ジャカルタの北東約1500キロにある同島北部の都市パルで、生存者の救出は時間との闘いだとロイター通信(英語)は報じている。
スマートフォンで撮影された動画には、パルの海岸線を襲う津波がホテルやショッピングモールを破壊していく様子が映っている。液状化現象により1つの地区だけで1700棟近くの民家がのみ込まれており、死者は数百人に上ると見込まれている。
生き延びた被災者らは、激しい濁流の中で愛する人を失った心境を吐露している。アディという名の男性は、津波がパルの海岸を襲った際、妻を抱きしめていたが、濁流が男性の手から妻を奪い去っていったという。
「妻は波にさらわれました。私は50メートルほど押し流されましたが、つかまれるものは何もありませんでした。私の周囲では水が渦を巻いていました。今朝私が海岸に戻ると、私のバイクと妻の財布が見つかりました」
地元当局によると、避難者の数は7万人を超えており、緊急の支援が必要だという。現地では略奪や不法行為が横行しており、支援が急務だと現地の救助ボランティアらも話している。
「暴徒が飛行機を襲う恐れがありますが、人々は援助を心待ちにしています」と匿名の救助隊員は話した。隊員によると、商店からは消耗品が「きれいに取り去られ」ており、ガソリンスタンドも略奪されているという。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は、複数の人道支援機関がインドネシア政府と接触しており、救援準備は整っていると伝えている。「食料や清潔な水、避難所と医療、社会心理学的な支援が緊急に必要です」と、OCHAの広報担当者イェンス・レルケ氏は言う。
ワールド・ビジョンをはじめとするキリスト教支援団体も救援物資を送るなど、緊急支援に取り組んでいる。キリスト教人道支援団体「ワールドヘルプ」(英語)は独自に窓口を設け、食料や水、薬品などを必要とする被災者のために寄付を募っている。