「がん哲学外来」の提唱者、順天堂大学医学部教授の樋野興夫(ひの・おきお)氏のデビュー作『われ21世紀の新渡戸とならん』(イーグレープ)が、新訂版で15年ぶりに再刊された。これに合わせて、樋野氏を迎えての出版記念講演会が3月29日午後1時半から、お茶の水クリスチャン・センター(OCC、東京都千代田区)で開かれる。
「がん哲学外来お茶の水メディカル・カフェ in OCC」が主催する。樋野氏が、2003年に本書を出版した経緯と新渡戸稲造の現代的意義を語る。OCC副理事長の榊原寛氏が総合司会を務める。
本書は100ページに満たない短い書でありながらも、新渡戸をはじめ、南原繁や内村鑑三、矢内原忠雄といった明治以降の日本を切り拓(ひら)いたキリスト者たちの生きざまから、いつの時代も色あせることのない、人生を生き抜くためのヒントを伝える。
新訂版は、新たに「序文」と「おわりに」が加えられ、持ち前のユニークな視点、秀逸な発想から、独特な語り口でつづられる「陣営の外へ」「開いた扇の要」「楕円形の心」「日本肝臓論」など、旧版同様28話を収録。本紙のインタビューで、樋野氏は本書の特徴について次のように語る。
「この本は薄いけれど、読むだけでがん患者も慰められる言葉がある。若い時に読んで心に染みた言葉を、患者の顔を見て、心の内を考えながら、この人ならこの言葉がいいと思って言うのが言葉の処方箋。新渡戸、内村が書かれた本には暗記すべきものがある。でも、それも彼らの言葉ではなく、引用している言葉。彼らも感動した言葉を自分の本に書き、それを僕も引用している。言葉とは継承です」
入場無料、定員150人。参加の申し込み・問い合わせは、共催のイーグレープ(メール:[email protected]、電話:04・7170・1601、ファックス:04・7170・1602)まで。