普天間バプテスト教会(沖縄県宜野湾市)付属の緑ヶ丘保育園の屋根に、米軍機で使われている部品が落下した問題で、日本バプテスト連盟(さいたま市)理事会は12日、日本政府や米軍に対する抗議声明を発表した。同連盟は、当時飛行していた米軍の大型輸送ヘリから落下した可能性が高いとし、過去にあった米軍機による事故も踏まえた上で、今回の落下もその延長上にあると主張。米軍基地が存在する限り危険はなくならないとし、基地の撤廃も訴えている。その一方で米軍は、部品は飛行中のヘリから落下したものではないとする見解を示している。
沖縄県では今年5月、米軍嘉手納基地所属の戦闘機F15が海上に重さ2キロの部品を落下させたほか、11月にも同基地に暫定配備されている最新鋭のステルス戦闘機F35Aが訓練飛行中に機体を覆う重さ約450グラムのパネルをなくしている。同連盟は声明で、こうした事故や米兵による性暴力事件などを取り上げ、「沖縄では永年に亘(わた)って多くの基地被害が引き起こされており、そこに暮らす人々と自然に与える傷と痛みは深まり、また広がり続けている」と訴える。
緑ヶ丘保育園は米軍普天間基地から約300メートルの位置にあり、落下があったのは7日午前10時20分ごろ。同じ時間帯に米軍の大型輸送ヘリCH53が飛行していたことから、部品は飛行中の機体から落下した可能性が指摘されている。同園によると、落下時には大きな音がし、園庭にいた保育士は「ヘリから何かが落ちました」と、同教会の神谷武宏牧師(兼同園長)に伝えた。
しかし米軍は、落下物がCH53の部品であることは認めているものの、当時同園上空を飛行していた機体から落下したものではないとの認識を示している。部品はCH53のブレード(羽根)の損傷を検知するための装置に付けるカバーで、1機当たり7個装着する。米軍によると、同園上空を飛行していた機体からは離陸前にすべてのカバーが外されており、他のCH53においても部品は保管されているのが確認されたという。
沖縄県の富川盛武副知事は11日、沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長からこうした米軍側の説明を受けた。しかし、地元の琉球新報によると、「(部品が)固いセメントの上に落ちると粉砕すると思うが、(屋根の)下が空洞でショックアブソーバー(衝撃緩和材)のようになって、これだと当初(米軍側から)聞いた説明と違う」とも指摘。部品が飛行中のヘリから落下したのか、園側と米軍側の主張が異なることから事実の解明を求めた。
部品がヘリから落下したとする同園の父母会は12日、「50センチずれていれば命に関わりかねない重大事故」だとし、園上空での米軍機の飛行停止などを求める嘆願書を沖縄県に提出した。事故の原因究明と再発防止、また原因究明までの飛行禁止も求めており、21日を第1期締め切りとして一般からの署名も募っている。
一方、この事故からの6日後の13日には、普天間基地に隣接する普天間第2小学校のグラウンドに、飛行中のCH53から重さ約7・7キロの窓が落下する事故が発生した。グランドでは当時、2年と4年の児童約50人が体育の授業を受けており、窓が落下したのは児童からわずか約10メートルしか離れていない場所だった。同小学校の上空は日米両政府間の合意で飛行ルートからは外されていることになっているが、沖縄防衛局の観測によると、これまでも飛行が繰り返し確認されていたという。