米アップル社元上級副社長のロン・ジョンソン氏(58)が最近、米ストリーミングサービスの番組に出演し、2011年にすい臓がんで亡くなった同社創業者のスティーブ・ジョブズ氏と生前、キリスト教信仰について語り合う機会があったことを明かした。
アップル社で7年余り小売部門を担当したジョンソン氏は、同社の直営店「アップルストア」や、アップル製品の相談窓口「ジーニアスバー」の考案者として知られている。米大手百貨店ターゲットの副社長や、同JCペニーの最高経営責任者(CEO)などを歴任し、現在は自身で立ち上げた新会社を経営する。
小売事業に長年携わる中でモットーにしてきたのは、「隣人を自分のように愛しなさい」(マルコ12:31)という聖書の言葉だという。「仕事を通じてどのように人を愛すのですか」と尋ねられると、「それがまさにアップルストア(が問い続けてきたこと)なのです」と語った。
ジョンソン氏は、ジョブズ氏からとても気に入られていたと言い、日曜学校の教師をしていることも尊敬してくれたと話した。
「スティーブは静かなタイプの人でしたが、彼の心の中には熱く輝く神の光が秘められていました。顧客、製品、人生、そして家族に対する情熱を持っていたのです。彼は多くの素晴らしい人材に囲まれていました。彼の心は複雑でしたが、偉大でした」
交流がそれほど頻繁にあったわけではないが、アップル社に在籍していた期間に、ジョブズ氏と「永遠」について話し合うことができたという。
「(2003年に)初めてがんと診断されたとき、スティーブは好んでハワイに行くようになりました。ある時彼は休暇のためにハワイに行ったのですが、その時、私と彼は電話で信仰について長い時間話しました。私にとって信仰とは何か、そして彼が信仰を持つことはどんな意味があるのかを」
「私は1つだけアドバイスしましたが、それはとてもシンプルなものでした。『スティーブ、君ほど頭のいい人間は、永遠について時間をかけて考えるべきだ。永遠は存在するのか否か、永遠とはどういうものかということを。分かり切ったことだ、と思わないことだ』と」
ジョンソン氏はこの時、永遠について深く考えてほしかったのであって、ジョブズ氏にキリスト教を信じさせようとしたわけではないと言う。
「9割の人は至高の存在を信じています。それは、『信じなさい』と言われて育ったからだけではありません。信仰を支える多くの証拠があるので、よく考えた上で信仰を持たないというのは、相当難しいからなのです」
ジョンソン氏は最後に、「彼に私自身がどういう人間であるかをさらけ出すことが、私の役目でした」と語った。