ドイツの宗教改革者マルティン・ルター(1483〜1546)による自筆の文が、米アトランタのエモリー大学で発見された。文は3行の短いもので、1520年に出された小冊子のタイトルページ(標題紙)に書かれていた。同大が16日に発表した。
ルター自筆の文が見つかったのは、エモリー大学キャンドラー神学校のピッツ神学図書館。北米最大のルター・コレクションである「リチャード・C・ケスラー宗教改革コレクション」を所蔵しており、今回発見されたものとは別の自筆文も保存している。
同大の発表(英語)によると、発見したのは、独ゲオルク・アウグスト大学の引退教授でルター研究の専門家であるウーリッヒ・ブーベンハイマー氏。同コレクションの印刷された文献目録を使って作業していたときに見つけたという。文献目録には標題紙の画像も多数含まれており、ブーベンハイマー氏は、小冊子の標題紙に記されていた手書きの文を見て、ルターのものではないかと思い、直ちに図書館側にメールを送った。コレクションの多くがデジタル化されていたこともあり、ブーベンハイマー氏は直ちに高解像度の画像を手に入れることができ、より詳細な調査をすることができた。
小冊子はペンネームで書かれており、これまでのところ著者が誰なのかは分かっていない。内容はルターを破門するローマ教皇の決定をあざけるもので、ルターは標題紙に著者が仲間の1人であることを書いているという。
ピッツ神学図書館には、ルター自身による出版物など千点以上が所蔵されており、非常に貴重な16世紀の文献も多い。現在はデジタル化が進んでいることから、ブーベンハイマー氏のような世界中の専門家が、オンラインでより簡単にコレクションにアクセスできる。
今回の発見について同図書館のボー・アダムス臨時館長は、「コレクションの宝を、世界中の研究者、教師、学生が利用できるよう、一層のデジタル化を推し進めるための力となります」と話している。