第48回衆議院議員総選挙もいよいよ大詰め。明日22日は投票日だ。秋雨前線や台風21号の影響で悪天候が予想されるが、投票率が低いのは実は晴れの日だという。選挙を忘れ、遠出する人が多いからだろうか。
先月28日、臨時国会冒頭に衆議院が解散。選挙戦に突入した。突然の解散、野党第一党だった民進党が事実上の分裂、希望の党や立憲民主党と、次々にできる新党に戸惑いを覚える有権者も多いだろう。今回の選挙では、全国から各党の候補者1180名が名乗りを上げ、小選挙区と比例代表合わせて465議席を争う。
2015年には公職選挙法の一部が改正され、高校3年生にあたる18歳まで選挙権が引き下げられた。
街角の掲示板にはポスターが貼られ、選挙カーでは候補者の名前が連呼。駅頭に立つ姿は見かけるものの、誰に投票していいか分からないというのが正直なところではないだろうか。
支持政党のある人は迷うことはないが、大多数を占める無党派層、特に政治に関心のない若い人は、投票したい候補者がいないと選挙に行かない。しかし政治家は、投票してくれる人が今度も自分に投票してくれるよう、投票する層に手厚く、投票しない層は二の次といった政策をとる。前回選挙では20代の投票率は32・6パーセント、60代は68・3パーセント、ほぼダブルスコアだ。
ネットで検索すれば、自分の選挙区の候補者のことや、前回選挙の結果から、誰と誰が接戦で、どちらに入れればいいかも分かってくる。どちらの候補者に自分の1票を投じればいいのだろうか。クリスチャンの千葉県議会議員、山本友子さん(市民ネットワーク)に話を聞いた。
――過熱する選挙戦。今回の争点を挙げるとしたら?
まずは、憲法改正に伴う自衛隊の立ち位置の問題ですね。今回、自民党、公明党をはじめとする与党勢力が3分の2を占めれば、改憲は間違いなく行われるでしょう。自衛隊がもはや「自衛」だけではなくて、同盟国と共に攻撃ができる、戦争ができる国になるということですね。これに関しては、若い人たちによく考えてほしい。
――2番目は?
原発ですね。原発を止めない、再稼働も推進、できれば新しい原発を作りましょうという方向に進みかねない。本当にそれでいいのか。
――それぞれ賛成する人も、反対する人もいます。
そうですね。ただ、どうするか決まってしまえば、共にその結果を引き受けることになります。例えば、また原発事故が起こった、もしくは、日本が戦闘状態に巻き込まれたとします。その時に、「私は反対したのに」と言っても、自分の上にだけ戦闘機が来ないということはないし、原発事故の影響が及ばないということもありません。
ですから、今これを止めるか、それとも進めるか。自分には関係ないと無関心のまま選挙が終わるのを待つのか。家族で議論するのもいいでしょう。しっかりと自分はどうしたいかを考えてほしいですね。
――そうは言っても、政治や選挙に無関心な人も多いと思います。
選挙というのは、候補者のために行くのではないんですよね。まして、他人のために行くものではない。自分や自分の子ども、孫、周りの人たちのために行くものなのですよね。自分の住む国の議員を決めるのですから。
――候補者の街頭演説や政見放送などを見ていると、皆、同じようなことを言っていると感じる人もいると思うのですが。
今回の選挙は特に、口先だけでは皆、同じように聞こえると思うのです。しかし、その人が何をしてきたか。どんな主張をしてきたか。その主張を今回の選挙のために変えたり曲げたりしていないか。そういうことをよく聞いていてほしいと思います。
――選挙報道が過熱するあまり、有権者は何が真実なのかを見失ってしまう場面もあると思うのですが。
このように情報も錯綜(さくそう)している中で、有権者の皆さんはとにかく一度立ち止まって、「私が望む社会はどんな社会なのか」「自分はどんな将来を望むのか」を考えてみてほしい。その将来のために、または社会に近付くために、どの候補者が応えてくれるのかということですね。
――今回の選挙戦、以前とは何か違うと感じますか。
候補者の勢いではなくて、市民の勢いが違いますね。応援演説を頼まれることも多いのですが、応援をしていると、聴衆の皆さんが「うん、うん」と心の底からうなずいて聞いてくれているのが分かるのです。
従来までの選挙は、どこの党に投票しても、自分の票が生きていないように感じたかもしれません。しかし、今回は違うのです。1票が必ず生きてくる選挙だと思います。ですから、投票に行ってほしいですね。投票に行けば、投票締め切り後に始まる選挙報道特集なども楽しんで見ることができます(笑)。選挙は面白いですよ。私は有権者として投票の経験、もちろん出馬の経験、候補を応援する経験、いろいろな形で選挙に関わっていますが、選挙は、自分の将来を託す政治参加ですからね。