イエスの時代にエルサレムの水源となっていた3つの古代池が、米国から75万ドル(約8400万円)の費用拠出を受け、修復されることが10日、発表された。AFP通信が伝えた。
この3つの人口池は「ソロモンの池」と呼ばれ、ヨルダン川西岸のベツレヘム近郊にある。パレスチナ研究所(IPS)によると、イエスの降誕前後に造られて以来、エルサレムの主要な水源となっていた。
IPSの研究により、南側から池に水を供給していた最初の水路は、紀元前37〜4年の間にヘロデ王によって建設されたことが分かっている。建造から2千年以上たっており、石造の池は破損が目立つ。現在は3つの池のうち2つだけに水が入っており、最も古いものは状態が悪い。さらにIPSによると、1993年以降、少なくとも6人が池で溺れているが、特別な管理はされていないという。
こうした状況を改善しようと、在エルサレム米総領事館は修復工事のための費用を拠出することを決めた。池が修復されることで、ヨルダン川西岸地区の主要観光地の一部になることを期待している。
ドナルド・ブローム米総領事は、「修復プロジェクトは単に歴史を守るだけではありません。ここに住む人々の命と生計を守ることにもなります」と言う。
米国による資金提供は、休止状態にある「和平プロセス」に弾みを付けようとするトランプ政権の取り組みによる。パレスチナ人への経済支援が、この取り組みの重要な柱となっている。「トランプ政権は、パレスチナ経済の潜在能力を最大限引き出すことが、和平達成に必要な要素であることをはっきりさせたのです」と、ブローム氏は話す。
また、ソロモンの池の総支配人であるジョージ・バソウス氏は、この遺跡がこれまで無視されてきたと言う。「この遺跡の重要性は、何世紀にもわたってエルサレムに水を供給してきたことにあります。ですから、遺跡を保護し、修復することは私たちの義務なのです」
ソロモンの池という名称は、旧約聖書に登場するソロモン王が建造したと考えられていたことによる。しかし、最近の研究から、実際にはイエスが生きていたヘロデ王の時代に造られたものと考えられている。