メキシコ中部で19日(日本時間20日)に発生した地震による犠牲者はさらに増え、発生から丸2日たった21日には270人を超えた。この地震では、首都メキシコ市の南東にある町アツァラで教会の屋根が崩壊し、生後2カ月の女児を含む11人が死亡した。女児はこの日、洗礼を受ける予定で、そのために集まっていた家族らが犠牲になった。
地震で屋根が崩壊したのは、プエブラ州アツァラにあるサンティアゴ使徒カトリック教会。プエブラ大司教区によると、生存者は女児の父親と司祭、司祭の助手の3人のみで、死者の中には少なくとも4人の未成年者が含まれていた。
司祭の助手を務めていたロレンソ・サンチェスさんはAP通信(英語)に、「教会は恐怖と悲しみの場となりました。聖堂にいたほとんどの方が亡くなられたからです」と語った。サンチェスさんによると、生存者は揺れが始まったとき、教会の端に移動したが、犠牲となった人たちはその時間がなかったという。「今回教えられたことの1つは、古くなって状態が悪化した教会にいる場合、(地震の時は)丈夫な壁際に身を寄せることです」
AP通信によると、地震の揺れが収まった後、生存者たちはスピーカーを使って助けを求め、駆け付けた近隣住民が、シャベルやつるはしなどでがれきを取り除いた。住民らは数時間にわたって救助に当たったが、がれきの中からは女児の家族ら11人が死亡しているのが見つかった。遺体は、洗礼後にパーティーが催されることになっていた通り沿いに並べられ、雨で濡れないようシートで覆われていたという。
翌20日には、州都プエブラで行われる通夜の祈りに出席するため、遺族らが夜を徹して各地から駆け付けた。ひつぎには、フロレンシオさん、フィデラさん、アウレリアさん、マヌエラさん、マリア・デヘスースさん、カルメンさん、サムエルさん、アズセナさん、フェリシアーナさん、スザナさん、そして洗礼を受けることになっていたエリデスちゃんの名前が記されていた。
アツァラは震源の西約30キロに位置しており、プエブラ州では40人余りが亡くなった。