Skip to main content
2026年6月25日22時20分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍

人間の持つ真実のみが、真に相手をゆさぶり、変えていく 下田ひとみ『トロアスの港』

2017年8月19日06時11分
  • ツイート
印刷
関連タグ:下田ひとみ
人間の持つ真実のみが、真に相手をゆさぶり、変えていく 下田ひとみ『トロアスの港』+
下田ひとみ『トロアスの港』(作品社)

「トロアス」と聞いてピンと来た人は、聖書をよく読んでいる人だ。

パウロは伝道旅行を3回している。1回目(使徒13~14章)は、キプロス島や小アジアを中心に伝道した。2回目(使徒15:36~18:22)はギリシャまで足を伸ばしている。3回目(18:23~20:16)はエフェソを中心にして、同様にギリシャまで旅をした。

この時、小アジアの西の端にある、ギリシャへ渡るための港町だったのがトロアス。ここからキリスト教はアジアから飛び出してヨーロッパへと伝わったのだ。

トロアスでは、パウロたちにとって重要なターニングポイントとなる出来事が起きた。マケドニア(ギリシャ)人が助けてほしいと願う幻をパウロは見て、予定を変えてヨーロッパ宣教の道が開かれたのだ。

「彼らはアジア州で御言葉を語ることを聖霊から禁じられたので・・・ビティニア州に入ろうとしたが、イエスの霊がそれを許さなかった。それで、ミシア地方を通ってトロアスに下った」(16:6~8)

下田ひとみ『トロアスの港』(作品社)は、誰の人生においてもこの「トロアス」があることに気付かせてくれる小説だ。主人公が「トロアスの港」について語られたある説教を思い出す場面がある。

「わたしたちの人生において、行き詰まり、先が見えなくなって途方に暮れる『トロアスの港』は、必ず存在します。・・・正しいことをしているはずなのに、道が次々と閉ざされていく。『神様なぜですか?』と、パウロは問うたことでしょう。どうしても納得がいかない。でも、こたえはない。トロアスの港から見えるものといえば、船がなくては渡れない、海、また海ばかり」(149ページ)

米国西海岸のオレゴン州で起こったある悲劇的な事件でこの小説は幕を開けるが、その全編の舞台となっているのは、古い城下町にある、幼稚園が併設された教会。そこに米国の神学校を卒業したばかりの青年伝道師、北見城治(きたみ・じょうじ)がやって来る。

その教会では60代の藤堂靖章(とうどう・やすあき)牧師とノルウェー人の女性宣教師アンネマリエ・オルセンが北見伝道師の到着を待っているが、藤堂牧師はこの青年伝道師について「ある理由で・・・心が騒いでいる」(7ページ)、「オルセン先生にだけは打ち明けようか」(9ページ)と、胸に秘めた何かがあることが読者にほのめかされる。「息子の文彦はもちろん、十六年前に亡くなった妻も知らない秘密が、靖章にはあったのである」(9ページ)

藤堂牧師が隠している秘密とはいったい何なのか、プロローグの悲劇的な事件はこの登場人物たちとどう関わっていくのかと、謎めいた雰囲気の中で物語は展開していくが、その後も、北見伝道師が暗い地下道を逃げる夢を見続けるのはなぜか、文彦の恋人である森中みずかがどうして真夜中に幼稚園に忍び込みベートーベンの「月光」を弾いていたのか等々、登場する人物がそれぞれ抱える「トロアス」の謎が一つ一つ徐々に明らかにされていく。

それは、パウロが経験した「トロアス」と言うにはあまりにも過酷な、心に深い傷を残す出来事だったのだが、そこで彼ら彼女らが信仰をめぐる切迫した問いの前に立たされることにも小説は踏み込んでいく。どうして神は人を苦しめることなく、「平凡に生まれ、平凡に育ち、・・・普通の人間で」(128ページ)いさせてくれなかったのだろうか――。

その魂の深淵の前に一緒に立ちながら、藤堂牧師は北見伝道師にこのように語り掛ける。

「神は何でもできるのです。先生を助けることも、つらい思いをさせずにすませることも、初めから苦しみにあわなくさせることも。しかし神は何も先生に手出しをなさらなかった。いつもただじっと、先生を見ていてくださった。なぜなら神は計画を持っておられたから。おそらくそれは今にいたっても、我々には秘(かく)されていることですが――神は意志を持って、先生を助けられなかったのです」(150ページ)

そして、その「神の計画」とは、本人の思惑とは関わりなく、その苦しみを通らされた人でなければできないあり方で周りの人々を慰めていたことではなかったかと、藤堂牧師は訴えるのだ。それはまるでキリストが「受けた傷によって、わたしたちはいやされた」(イザヤ53:5)、「そのお受けになった傷によって、あなたがたはいやされました」(1ペトロ2:24)と聖書で述べられているのと同様に。

「先生の語る言葉で、人々は喜びに満たされていきました。うなだれていた者がやる気を起こし、つまずいていた者が立ち上がる。先生の祈りは、たくさんの人々に慰めを与えました。わたしは北見先生に慰められたことで、人生を先に進ませる勇気を持てた人たちを、たくさん知っています。理屈や小手先で、人は人を変えることはできません。その人間の持っている真実のみが、真に相手を動かし、ゆさぶりをかけ、変えていくのです」(127ページ)

この小説はミステリーのように、登場人物それぞれが人知れず抱え続けてきた深い悲しみと痛み、そしてそれらが交錯して織りなす謎の一つ一つをやがて明らかにしてゆき、最後は「魂の再生」に向かう希望の中で閉じられる。

作者は、本紙で連載が始まったばかりの「思い出の杉谷牧師」をつづる下田ひとみさん。両方を読み比べてみると、下田さんが実際に経験した教会生活がこの小説のあちらこちらに反映されていることが分かる。

クリスチャンを主人公にしてその信仰の葛藤を描ける日本ではまれな作家である下田さんの最新作。ぜひこの夏、その物語世界に入って、人間の魂の真実、キリスト教信仰の深みに触れてみてはいかがだろうか。

下田ひとみ『トロアスの港』
2016年12月25日初版
四六判・160ページ
作品社
定価1300円(税別)

関連タグ:下田ひとみ
  • ツイート

関連記事

  • クリスチャン作家の下田ひとみさん 「落葉シティ」ホームページを開設

  • 『落ち葉シティ』出版記念会 クリスチャン作家・下田ひとみさん

  • 【インタビュー】クリスチャン作家として生かされて 下田ひとみさん

  • クリスチャン作家・下田ひとみ氏が講演 「赦しとは?」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 救世軍清瀬病院が来年3月末で閉院、診療は今年11月下旬めどに終了

  • いのちの言葉聖書学校が卒業式、5人が新たな歩みへ

  • 韓国異端「新天地」の李萬熙総会長を逮捕、信者5万6千人を政党に強制入党させた疑い

  • Gゼロ時代の津波石碑(10)【久保有政氏に聞く】仏教とキリスト教のつながり(前半) 山崎純二

  • 「ヘブライズムが世界を救う」 ジーザス・ジューン・フェスティバル2026、東京・新宿で6月29日

  • 日ごとのパンを求めて―ジョージ・ミュラーの生涯(6)フランケの「孤児の家」

  • 旧統一協会の解散命令が確定、最高裁「必要でやむを得ない」 特別抗告を棄却

  • 日本キリスト教海外医療協力会、新会長に柳澤理子氏 椙山女学園大学教授

  • ワールドミッションレポート(6月24日):メキシコ カルテルと伝統の狭間で─暴力に耐えるキリストの弟子たち

  • 神学の限界と突破口(5)第1章 主な論争と解決─「聖霊論」の論争 三谷和司

  • 国旗損壊罪の創設に反対、日本キリスト教協議会が声明

  • 救世軍清瀬病院が来年3月末で閉院、診療は今年11月下旬めどに終了

  • Gゼロ時代の津波石碑(10)【久保有政氏に聞く】仏教とキリスト教のつながり(前半) 山崎純二

  • 旧統一協会の解散命令が確定、最高裁「必要でやむを得ない」 特別抗告を棄却

  • 聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(11)パン種の譬えで示す神の国 白畑司

  • 神学の限界と突破口(5)第1章 主な論争と解決─「聖霊論」の論争 三谷和司

  • いのちの言葉聖書学校が卒業式、5人が新たな歩みへ

  • 両足に6本の指持って生まれた少年、キリスト教慈善団体の医療支援受け走れるように

  • トランプ氏のイラン戦争と移民政策、福音派で評価二分 否定的回答が半数超える

  • 「世界難民の日」 ワールド・ビジョンが8カ国で調査 子ども守る「自立」の重要性訴え

  • 国旗損壊罪の創設に反対、日本キリスト教協議会が声明

  • 米メガチャーチがビーチで洗礼式、過去最多の2552人が受洗

  • 着工140年以上のサグラダ・ファミリア、主塔「イエスの塔」完成 NHKが特番

  • 「聴く隣人のいるところ」 キリスト教高校の1年間が伝える「自由とは何か」問う大切さ

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(250)未信者とセカンドチャンスに潜む大きな課題 広田信也

  • 神学の限界と突破口(4)第1章 主な論争と解決─「贖罪論」の論争 三谷和司

  • 救世軍清瀬病院が来年3月末で閉院、診療は今年11月下旬めどに終了

  • 戦後のキリスト教ブームの中で生まれた口語訳聖書、今にも生きるキリシタン時代の聖書訳

  • 聖書全巻の翻訳、800言語で完成 飛躍的に加速する聖書翻訳

  • 「祈りなくしてリバイバルは起こらない」 日本リバイバル同盟が創立30周年

編集部のおすすめ

  • 「今、求められているのは、慰めと癒やし」 能登被災者支援でゴスペルコンサート

  • 「祈りなくしてリバイバルは起こらない」 日本リバイバル同盟が創立30周年

  • 芥川賞作家の鈴木結生氏らが登壇、青山学院大学で口語訳聖書刊行70周年記念講演会

  • 四国の教会が教団教派超え一致 「愛と希望の祭典・四国」閉幕、延べ3千人以上が参加

  • 「あなたの人生は、必ずよみがえる」 第63回首都圏イースターのつどい

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • Threads
  • RSS
Copyright © 2002-2026 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.