1945年から05年までの50年間に韓国で翻訳・出版された日本の文学作品の中で、「氷点」や「塩狩峠」などの多数の小説を手がけ、クリスチャン作家として著名な三浦綾子さんの作品が最も多く翻訳されていたことがわかった。三浦さんの出身地・旭川市がある北海道新聞が伝えた。
韓国・建国大学の姜宇源庸氏が、戦後の日本文学の翻訳状況を分析し、論文にまとめたことでわかり、三浦さんの作品が146編と最も多く、次いで村上春樹さんが110編、村上龍さんが67編と続いた。
同紙によれば、論文を発表した姜氏は今回の調査結果について、「三浦さんの作品に流れるキリスト教の倫理観が、キリスト教信者が多く、朝鮮戦争で深い傷を受けた韓国人の感性に訴えたのではないか」と分析している。
三浦さんは戦後、戦前勤めていた小学校教員を退職した後、肺結核を患い、その闘病中にクリスチャンであった友人との出会いなどを通して闘病中に受洗。結核の他にもパーキンソン病など複数の重病に幾度も見舞われるが、クリスチャンとしての信仰に根ざした作品を次々に発表した。