世界の宗教的自由の促進のために活動するキリスト教国際NGO「世界キリスト教連帯」(CSW、本部:英国)が19日、国連から「協議資格」を取得した。CSWは2009年以来、国連に対し協議資格の取得を申請していたが、これまで承認が何度も延期されてきた経緯がある。協議資格の取得により、CSWは今後、国連の国際会議や行事への出席、国連に対する意見表明、国連内への出入りなどが可能となる。
CSWはアフリカ、中東、中南米、アジアの20カ国余りで宗教的自由を推進し、人権侵害を報告する活動をしている。CSWによると、54カ国の国連加盟国で構成される国連経済社会理事会(経社理)が同日行った投票で、CSWに対する協議資格の付与が決まった。
AP通信(英語)によると、CSWは09年以来、何度も申請していたが、19カ国の加盟国で構成される経社理のNGO委員会による審査段階で、承認が延期され続けてきた。同委の構成国には、パキスタンやインド、中国、スーダン、トルコなど、人権や宗教的自由に対する違反が多発する国々が含まれている。
経社理の審議では、54の加盟国のうち28カ国が、CSWに協議資格を付与することに賛成。反対したのは9カ国で、12カ国は棄権した。
CSWの声明(英語)によると、これにより「国連の人権擁護に関わる重要な活動」や、国連の諸会合でサイドイベントを組織する権限が与えられる。サイドイベントが開催可能な行事には、国連人権理事会の正式なセッションの他に、国連本部の会議室を使ってさまざまなNGOが開催する会議やシンポジムなどが含まれる。
「今日はCSWにとって大変有意義な1日です。国連の認可により、CSWは国連組織全般において、宗教および信条の自由の権利を促進する活動を推進できることになります。この投票は、国連の活動にとってNGOの貢献が重要であるとの認識を示すものです」と、CSWのマービン・トーマス最高責任者は声明で述べた。「CSWは、協議資格を付与する決議を共同で支援してくれた国連加盟国、またCSWの申請を支持して投票してくれた経社理加盟国に深く感謝しています」
CSWによる協議資格の申請は今年2月にも却下されていた。しかし、英国のマシュー・ライクロフト国連大使が中心となり、在ニューヨーク英国国連代表部が申請却下に対する不服を訴えていた。
ライクロフト氏は経社理の開会のあいさつで、「CSWのような真摯(しんし)で信頼できるNGOが未確定の状態で7年間も待たされた場合、組織としての本来の機能を果たしていないことは明らかです。CSWの活動は経社理と直接関係しています。CSWの活動は、世界人権宣言や他の国連人権条約の普遍的宣言と同様、国連憲章の狙いや目的と最大限の互換性があります」と訴えた。
「CSWは国連憲章の狙いや目的を促進するため、積極的に活動しています。他の市民社会のパートナーにも、国連の組織内で活動し、国連のメカニズムを十分活用するよう訓練しています。NGO委員会の(従来の)決定は、CSWが協議資格を求めて申請してきたことに基づくものではなかったと、私たちは結論付けています」
トーマス氏は声明で、CSWに対する協議資格付与を経社理に要請した共同書簡の署名者らにも感謝を示した。
米CNSニュース(英語)によると、経社理のNGO委員会は、政治的根拠に基づいて決定を下しているとして長年批判されてきた。
「今日の投票結果には満足していますが、人権団体による申請を繰り返し延期し、却下するNGO委員会の傾向については疑問の声が上がっており、対応が必要です」とトーマス氏は付け加えた。
AP通信によると、経社理はまた、NGO委員会のすべての公的な会議をネット配信することを、賛成37カ国、反対0カ国、棄権16カ国で決議した。
米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、ネット配信は「国連の透明性と説明責任の向上をもたらす」と言い、「世界中の抑圧的な政府に立ち向かう組織を大きく援助することになる」と語った。