世界の子どもを支援するキリスト教主義の国際NGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」(WVJ、東京都中野区)の新事務局長に1日、同副事務局長の木内(きない)真理子氏(52)が就任した。前事務局長の片山信彦氏(63)は、常務執行役員として引き続きWVJの働きに携わる。
新事務局長就任を受け、木内氏は「最も弱い子どもたちとともに歩むワールド・ビジョンの理念をしっかり持ち続け、しかし変化する時代の要請に柔軟に応えられるよう、変えるべきところは勇気を持って挑戦していきたいと考えております」と話している。
木内氏は、青山学院大学国際政治経済学部卒業後、1987年に国際協力銀行の前身である海外経済協力基金に入職。その後、英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院、オックスフォード大学院でそれぞれ、開発社会政策学、開発経済学の修士号を取得。91年、国際協力銀行に復職し、2008年にWVJに入団した。WVJでは、ルワンダ、ウズベキスタンなど6カ国で長期開発事業を担当し、11年には東日本緊急復興支援部部長として震災支援を統括。13年から副事務局長兼戦略企画室長に就任し、中期計画の策定と団体運営を統括してきた。
一方、3月31日付で事務局長を退任した片山氏は、1992年の入団以来、WVJで25年にわたって働き、事務局長は2000年から17年間務めてきた。WVJのサイトに掲載した退任のあいさつでは、「21世紀に入り平和な世界の訪れを期待しましたが、むしろ紛争や自然災害は増加し、格差も拡大しています。世界の貧困状態は改善されつつありますが依然として困難な中で生活している子どもたちや人々は多く、世界的な課題は残されています」と、継続的な働きの必要性を話し、今後は理事会の運営や教会への働きを続けていくとしている。
ワールド・ビジョンは、キリスト教精神に基づいて開発援助や緊急人道支援、アドボカシー(市民社会や政府への働き掛け)を行う国際NGO。米国人宣教師のボブ・ピアス(1914〜78)が第2次世界大戦後の中国に渡り、そこで出会った1人の少女の支援を始めたことをきっかけに始まった。NGOとしては1950年に米オレゴン州で設立。60年代には戦後の日本の子どもたちの支援も行い、現在では約100カ国で子どもたちが健やかに成長できる世界を目指して活動している。WVJは1987年に設立され、現在、30カ国で127の支援事業を行っており、支援する子どもは世界で5万8千人を超える。