昨年10月17日、沖縄の辺野古・高江の米軍新基地建設をめぐり、反対運動をしていた「沖縄平和運動センター」のリーダー山城博治さんが沖縄防衛局職員にけがを負わせたとして、公務執行妨害と傷害の容疑で逮捕された。山城さんは、4カ月以上がたった現在も勾留が続いている。最高裁は、山城さんの弁護側が求めていた保釈の請求について、先月20日付でこれを棄却した。
最高裁の判決を前に先月16日、「沖縄平和運動センター議長 山城博治さんの即時釈放を求める」宗教者共同声明の発表記者会見が参議院議員会館で行われた。
呼び掛け人の1人、川越弘牧師(日本キリスト教会沖縄西原教会)は本サイトのインタビューに対し、「とにかく一刻でも早い釈放を」と強く訴えた。
川越牧師によると、山城さんをリーダーとする座り込みは、「非暴力で」「自主的に」「愛とユーモア」といったガイドラインが徹底されていたとのこと。現場で市民の行動が過熱したり、機動隊員と衝突したりしないよう、繰り返し呼び掛けもしていた。強制排除の際にも、住民側にケガ人が出ても、機動隊側を傷つけることはなかったという。
「山城さんの健康が心配です。2015年に大病を患い、病み上がりです。今も白血球値が下がり、病院に通院して治療を受けなければならない状態です。健康を害していることが明らかなのに、長期勾留が続けられています。山城さんの家族の接見も禁止されており、弁護士としか会えません。生命の危険もある長期勾留は人道上、決して許されることではありません。一刻も早い釈放を求めます」と川越牧師は語る。
日本の国土の0・6パーセントにあたる沖縄には、日本の米軍基地の74パーセントが集中しているにもかかわらず、さらに耐用年数200年以上の半永久的な基地を作ろうとしている。70年前、4人に1人が亡くなった沖縄戦を経験した人々は、「軍隊は国を守るが、民衆を守らない」ということが骨の髄まで染み込んでいるという。
「戦争が沖縄から再び起こらないように非暴力闘争を続けています。沖縄戦を体験した90歳にもなるおじいやおばあたちが、機動隊を前にして闘っております。私たちのこの闘いは、沖縄だけの闘いではありません。日本の民主主義が確立していくための闘いです。日本人は、沖縄の痛みを自分の痛みとしなければなりません。沖縄の問題は、日本人一人一人の問題です。沖縄を踏みにじってきた日本政府と、それに無関心な日本人こそ、沖縄の苦しみ以上の痛みを持つべきです。どうぞ、このことをよく理解していただきたいと思います」
同声明には、牧師、僧侶などの各宗教者の名前が連なる他、日本カトリック正義と平和協議会、平和を実現するキリスト者ネットなどの各団体も賛同している。