日本カトリック正義と平和協議会は28日、安倍晋三内閣総理大臣、中谷元防衛大臣、島尻安伊子内閣府特命担当大臣、中島浩一郎沖縄防衛局局長に対し、高江ヘリパッド工事再開についての抗議声明(全文はこちら)を発表した。
同協議会は「沖縄県東村 米軍北部訓練場ヘリパッド工事の強硬な再開は人権侵害です」と題するその声明の冒頭で、「カトリック教会は、人間の権力は、神の望まれた限界を越えてはならないものと考えています(『教会の社会教説綱要』382)。そして、キリストは、権力を絶対化しようとするあらゆる力に勝つ栄光の小羊であると、信じています」と述べている。
その上で、同協議会の会長である勝谷太治司教の名義によるこの声明で、同協議会は、沖縄の高江ヘリパッド工事が再開された経緯に触れ、参議院選挙の翌日早朝6時に、機動隊約100人、民間警備員約20人が押し寄せ、工事用資機材の基地内への搬入が始まり、機動隊が500人にまで増員され、工事に反対する市民を排除するために現場周辺の県道70号を封鎖、検問所が設置され、市民のテントや備品、車両も撤去、没収されたと指摘。「極めて強引な形で、22日、工事が再開されました」と記し、「この間、住民、支援する市民と警察との間にはげしいもみ合いが起こり、複数の怪我人が救急搬送されました」と付け加えている。
そして同協議会は、沖縄県議会が今月21日、工事の即時中止を要求する決議(意見書の全文はこちら)を行ったことに言及。「わたしたち日本カトリック正義と平和協議会もまた、これら一連の出来事は、住民を恐怖に陥れ、かつ、集会、結社、表現の自由という、憲法で保障された国民の権利の行使を不当に弾圧する、深刻な人権侵害であると考えます」と主張し、「わたしたちは、今回の沖縄県議会の決議に全面的に同意し、政府、沖縄防衛局が県議会と住民の要求を聞き入れ、工事を即刻中止するよう、要求します」と述べている。
さらに同協議会は、沖縄県議会が今年の5月26日に発表した「元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に関する意見書」(全文はこちら)の要求する諸項目、特に「在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小」の要求についても、「わたしたち日本カトリック正義と平和協議会が同意することをここで確認し、日本政府は沖縄県議会の要求に応じ、オスプレイ訓練を行う米海兵隊の、沖縄からの全面撤退をただちに実現するよう、強く要求します」と述べ、文末にそれらの意見書へのリンクも記した。