世界的に影響力のある改革派の指導者、ティモシー・ケラー氏(66)が、自身が創設したリディーマー長老教会の主任牧師を6月末で退任すると発表した。同教会は7月から3つの教会に分割され、ケラー氏は引き続き指導者育成に携わるという。米誌「クリスチャニティー・トゥデイ」(英語)などが伝えた。
ケラー氏は2月26日、日曜礼拝の中で退任を発表。同教会は28年前にニューヨークの中心地で始まって以来、多くの若者を引き付け、単独で会員5千人のメガチャーチに成長したが、教会を分割することは数十年前からの計画で、ケラー氏の退任はこれに従ったものだという。
ケラー氏は、今後は同教会の開拓伝道者養成機関「リディーマー・シティー・トゥー・シティー(Redeemer City to City)」でフルタイムの講師として教え、今年秋に予定されている同教会の修養会やイベントでも講演する予定だという。
「私も妻のキャシーも、どこにも行きません。ニューヨークは私たちの故郷ですし、皆さんは私たちの会衆です。私たちは、ニューヨークやリディーマー長老教会の交わりから離れることはありません」と、ケラー氏はこの日、会衆に約束した。
教会の分割は、同教会が1997年に計画したビジョンによる。ケラー氏の妻であるキャシーさんは「これはもともと後継者育成計画ではありませんでした。メガチャーチにならないための計画だったのです」と説明する。しかし結果として、この計画により、新しい3教会を牧会するケラー氏の後継者3人を育てることになった。
同教会はもともと独自の教会堂を持たず、救世軍の施設や大学の講堂などを借り、ダウンタウン、イーストサイド、ウェストサイドの3カ所で礼拝を持ってきた。今後も協力関係は継続するが、公式にはそれぞれが独自の主任牧師と長老を有する独立教会となる。また各教会は、それぞれが3カ所で教会を開拓するため、リディーマー長老教会は合計で9つの「子教会」となる。イースター(復活祭)の4月16日には、リディーマー・リンカーン・スクエア教会がその最初の教会として始まる予定だ。
『The Reason for God』や『The Meaning of Marriage(邦訳:結婚の意味―わかりあえない2人のために)』の著者でもあるケラー氏は、都市部における教会開拓で大きな影響を与えてきた。米誌「ニューヨーク・マガジン」(英語)は、ケラー氏を「この街で最も成功した伝道者」と呼び、専門職に就く若者に対するケラー氏の影響力を取り上げている。リディーマー長老教会は世界各地の都市で教会開拓を積極的に進めており、リディーマー・シティー・トゥー・シティーを通じて、これまでに世界54都市に381教会を立ち上げている。