大型連休中の5月5日から7日まで、大阪市北区中之島にある大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)で、「日本宣教フェスタ」が開催される。2013年に国立京都国際会館で行われた「エンパワード21全日本大会」以来の5千人規模の大集会となる。講師も奉仕者も手弁当で行われるこのイベントには、幾つかの特徴がある。大会に携わる4人の代表者に話を聞いた。
講師全てが手弁当 ただ主のために、日本のために
大会長の小山大三牧師(岐阜純福音教会)は、大会の特徴を次のように語る。
「60歳を越えて最近思うことは、諸集会で主の働き(福音宣教)に対して冷ややかな眼差しを向けられることが多くなったということです。これではいけない。『幻のない民は滅びる』と聖書にあるように、ビジョン、夢、主への期待は持ち続けるべきです。本大会は、あらゆる世代が一堂に会して聖霊から励ましを頂くためのものです。国内外の講師が全て手弁当で、ただ主のために、日本のために結集するのです」
このような大規模な集会が、ペンテコステ・カリスマ諸派を中心に関西で継続的に行われるようになったのは、1996年に「福音宣教協力会」(GMA)が発足したことに始まる。
それまでは、70年代後半から90年代にかけて、韓国・汝矣島(ヨイド)純福音教会の趙鏞基(チョー・ヨンギ)牧師によってこのような集会が日本各地で行われていた。この流れを受けて、当初は米国の有名伝道者ベニー・ヒン牧師を迎え、1995年に初めての大会を開催する予定だった。しかし、同年1月に阪神・淡路大震災が起こり、計画が頓挫。97年に再度チャレンジして成功的なクルセードとなり、恒常的な組織として「福音宣教協力会」が立ち上げられた。
異なる世代が集い、回復の道のりを共に
本大会の実行委員長である村上好伸牧師(カリスチャペル)は、大局的な歴史観からこの大会の意義を次のように語る。
「初代教会の時代、聖霊が満ちあふれる体験が神様から与えられました。しかし、さまざまな出来事を経て、この聖霊の賜物が失われていきました。そして今から500年前、マルティン・ルターを通して回復の道が開かれたと信じます。やがてその道が100年ほど前にペンテコステ諸派に対して開かれました。今でも回復の途上にあると思いますが、その鍵を握るのがアジアであり、日本だと信じます。日本のキリスト者も年月を重ねて、アブラハム、イサク、ヤコブのように世代別に分けられるようになってきました。でもこの異なる世代が一緒に集まり、回復の道のりを共に歩むことが求められます。5月の日本宣教フェスタがそのための最も良いチャンスとなることを願っています」
5つのスタイルの集会が同時進行
本大会には、大きく分けて5つの集会スタイルが設けられている。大ホールでの本集会、キッズ集会、ユース集会、祈祷集会、そして各セミナーである。3日間、これら全てのプログラムを同時進行で行うというユニークな形態を取っている。さらに200人を超える合同聖歌隊が結成され、現在練習に励んでいる。これらの取り組みに対し、事務局長の菅原亘牧師(神戸キリスト栄光教会)は次のように語る。
「本大会を通して、私たちは主が日本の霊性を作り変えてくださると信じます。それはヨハネ福音書2章で語られているカナの婚礼での奇跡の再現です。私たちの霊性が弱まっている。それはまるで水のように薄められていると捉えることができるわけです。それを主は、おいしいブドウ酒へと変えてくださる。そのために必要なのは、水を瓶のふちまで満たすことです。私たち日本の各世代が、それぞれのやり方であっていいので、情熱を持ち、熱心さを掲げて集うことです。5つの異なった集会は、それぞれが特徴を持っていますが、思いは1つです。イエス様を愛し、主が私たちを作り変えてくださると信じる思いです。その信仰が参加される全ての方に満ちるとき、もはや私たちの霊性は薄められたものではなくなります。もっとコクがある豊かなものへと変えられていくのです。だから全世代が集う必要があるのです」
大会開催につながった1つのトラブル
開催まですでに3カ月を切り、開催間近となった本大会だが、ある1つのトラブルから生み出されてきたともいえる。2013年に京都で「エンパワード21全日本大会」が行われた後、「2017年に再び日本でエンパワードを」という機運が高まった。紆余(うよ)曲折を経たものの、開催地は関西圏に決まり、しかも日本人が最も活動的になるゴールデンウィークに行うことが確定されていた。
だが、ここで1つの問題が発生した。それは、このエンパワードという働きが、1906年に米ロサンゼルスのアズサ・ストリートから始まったペンテコステ運動にその起源を求めるものであったため、イースター(復活祭)から数えて50日目となるペンテコステ(聖霊降臨祭)の前週に行うよう決められていたのである。2017年のペンテコステは6月4日で、ゴールデンウィーク中の開催はこの条件に合わなかったのである。
日程的にはエンパワードの発展形とはならなかったが、「せっかく日本全国のペンテコステ・カリスマ諸派が集まる機会を設けられたのだから、これを主の導きと肯定的に受け止め、当初の目的から本質的に外れない『福音宣教』のために用いることにしようではないか」との思いが与えられたことで、この「日本宣教フェスタ」は始まっている。これを最も預言的に捉えたのが大久保みどり牧師(主イエス・キリスト教会)である。
「世界各地で行われている『祈りの塔』(24時間各国の救いのために連鎖祈祷することを推進する運動)を指導しているトム・ヘス先生が、詩篇19編5、6節『太陽は、部屋から出て来る花婿のようだ。勇士のように、その走路を喜び走る。その上るのは、天の果てから、行き巡るのは、天の果て果てまで。その熱を、免れるものは何もない』を読まれて、涙ながらにおっしゃったのです。『これはリバイバルがこの地にやってくる鍵の言葉です。そして太陽とは日の出る国、日本を指していると信じます。日本がリバイバルの鍵を握っているのですよ』と。1615(慶長20)年5月7日は大阪城落城の日に当たります。秀吉がキリスト教を禁じた伴天連追放令から430年、彼を象徴する大阪城が落城した節目の時に、日本を長年縛っていた日本の君の霊的権威に対して解放を宣言し、日本の君の牙城がエリコの城壁が崩れたように崩れ去る時であると期待しています」
世界から集まる注目
プロテスタントの1つの流れであるペンテコステ・カリスマ諸派は、全世界に6億人強の信徒がいるとされている。彼らの信仰告白は、聖書になぞらえて自分たちの現実を捉え、聖書の言葉を未来に対する神からの語り掛けと受け止めることに特徴がある。そういった意味で、本大会は世界的に注目を集めている集会であるともいえる。
主講師の幾人かは韓国やインドネシアなど、聖霊運動が盛んな地域から招聘(しょうへい)されている。また、ペンテコステ・カリスマ諸派が急速に成長しているブラジルなどの国からも、本大会への協力が表明されている。
聖霊運動の世界的な高まりが伝えられる中、このような大会が日本で行われることの意義は大きい。日本で活動するアジアを中心とした宣教リーダーたちも大きな期待を寄せている。
本大会の大まかな日程と内容は下記の通り。詳細は公式ホームページを。問い合わせは、日本宣教フェスタ事務局(神戸キリスト栄光教会内、電話:078・612・5511)まで。
プロテスタント500年記念「日本宣教フェスタ」
―全世代が一つとなって、日本宣教を推進するつどい―
<5月4日(木・祝)>
*歓迎晩餐会 午後6時~8時半 会場:リーガロイヤルホテル
費用:1人8千円(定員500人)
<5月5日(金・祝)>
*セミナー各種 午前10時半~、午後2時~
(海外宣教事情フォーラム、聖霊運動と神学、家族・夫婦円満など6コース)
*プレイズ&ワーシップ 午後3時〜
*大会① 午後5時半~8時半
説教者:大川従道、 李永勲(イ・ヨンフン)
<5月6日(土)>
*セミナー各種 午前10時半~、午後2時~
(スポーツ伝道、政治・ビジネス、文化伝道・福音落語、中東宣教事情など6コース)
*特別講演
午前10時半~ 信徒による教会活性化 金ハジュン(元中国大使)
午後1時半~ 個人伝道法 李サンジュン
午後3時半~ 日本宣教突破口 有賀喜一、奥山実、手束正昭
*祈りの祭典 午前10時半~
説教者:大久保みどり、サントス、クリスティナ
*大会② 午後2時~
説教者:中野雄一郎、ナタナエル周
*大会③ 午後5時半~
説教者:天野弘昌、ニコトラハルジョ
<5月7日(日)>
*合同礼拝 午前10時半~
説教者:水野明廣、ニコ・ニジョトラハルジョ
*ユース大会 午後2時~
説教者:万代栄嗣、周ジョナサン
※ 敬称略