【CJC=東京】 建国60周年のイスラエルで、テルアビブ大学シュロモ・サンド教授(61)の著作『ユダヤ人はどのようにして発明されたか=聖書からシオニズムまで』が、建国の原動力である「シオニズム運動」の根拠を否定するとあってかベストセラーになった。現地紙ハアレッツは3月21日、ヘブライ語の自著がイスラエルでどう受け止められるかサンド氏は悲観的だったと報じていた。アラビア語や英語、仏語、ロシア語にも訳される予定。
著作では、今のユダヤ人の祖先は、北アフリカからのベルベル族、アラビア南部からのアラブ人、カザル帝国からのトルコ人などが4世紀から8世紀に掛けてユダヤ教に改宗した人々であり、古代ユダヤ人の子孫は実はイスラム教かキリスト教を受け入れたパレスチナ人だと主張している。
サンド氏は「ユダヤ人は民族や人種ではなく、宗教だけが共通点」と指摘。イスラエル政府が標榜(ひょうぼう)する「ユダヤ人国家」には根拠がないと批判している。「パレスチナ人を含む全市民に平等な権利を与える民主国家を目指すべき」というのが著者の主張だ。