日本キリスト改革派教会は、昨年10月に開催された定期大会で、大会にメディア伝道局を設置することを決議しました。日本キリスト改革派教会が、教派としてメディア伝道に公式に取り組むのは初めてのことですが、メディア伝道との関わりは65年近い歴史を持っています。
古くは米国南長老教会が戦後日本の民放ラジオ局の開局とほぼ同時期に開始したラジオ番組「キリストへの時間」に、改革派教会の牧師ならびに信徒たちが積極的に協力してきました。同番組は現在、3つのエリアでそれぞれ別の組織によって運営されていますが、そのいずれにも日本キリスト改革派教会の牧師ならびに信徒たちが深く関わっています。
また、それより少し遅れて開始された北米キリスト改革派教会のメディア伝道にも50年に及ぶ協力をなし、日本キリスト改革派教会の牧師ならびに信徒たちがラジオ番組「あさのことば」「聖書を開こう」「希望のことば」など現在に至るまで番組の制作に関わってきました。日本キリスト改革派教会の教職者である私は、北米キリスト改革派教会メディア伝道局日本語部門の3代目の責任者として、18年間、その職にありました。
実は、今回、日本キリスト改革派教会が大会にメディア伝道局を設置する直接のきっかけは、北米キリスト改革派教会メディア伝道局との長年にわたる関係がその背景にあります。北米キリスト改革派教会は全世界10の言語でメディア伝道を展開していますが、可能な限り現地の改革派長老派教会との公的な関係の中でメディア伝道を推進しています。
日本では教派同士の公的な協力関係がないまま50年が過ぎましたが、これを機に日本キリスト改革派教会大会メディア伝道局が責任を持ってメディア伝道を計画推進し、北米キリスト改革派教会メディア伝道局がそれを資金的に協力するという形になりました。今までCRCメディア・ミニストリーの名のもとに行われていた事業の一切が、本年1月1日をもって本キリスト教会大会メディア伝道局に移管されます。
日本におけるキリスト教界のメディア伝道への取り組みは、本格的には日本における民法放送局の開局と連動しており、並行して海外からの日本向け放送という形でも行われてきました。ただ、それら放送伝道の場合、ほとんどその主体は超教派の伝道団体であるか、外国ミッション主体のものでした。ごくまれに単立教会が行うものもありますが、数としてはそう多くはありません。
1995年以降、インターネットが一般にも広まるようになって、日本でもインターネットを用いたメディア伝道が個人のレベルから教派のレベルまでさまざま行われるようになりました。ただ、教派レベルのものとなると、伝道的というよりは、教派の情報を提供することに主な目的があるようです。そういう意味で、日本キリスト改革派教会が教派としてのメディア伝道局を設置したことは、日本のキリスト教会の歴史にとって大きな意味を持つ出来事です。
とはいっても、今年から教派としてのメディア伝道に取り組むわけですから、その成果が正しく評価されるのはまだ先のことです。教派としてのメディア伝道を推進することの責任を覚えると同時に、このようなメディア伝道に取り組む教派が続くことを願ってやみません。
メディアを取り巻く環境は日進月歩の時代です。メディア伝道に関わってきた歴史の長さが、必ずしも有利とはいえない時代です。さまざまな教派が教派としてメディア伝道に取り組み、日本のキリスト教界の発展に貢献することができれば、これほどうれしいことはありません。そうなることを心から願っています。
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