「ではどうすればよいのでしょう。私は霊において祈り、また知性においても祈りましょう。霊において賛美し、また知性においても賛美しましょう」(Ⅰコリント14:15)
「特殊な子たちを集めたクラスですが、面倒を見てください」と校長はベテラン女性教師に頼みました。問題児ばかり集めたクラスでしたが、校長はそのことは黙っていました。クラス名簿の名前の横に、110、127、135と数字が書いてあるのを見て、女性教師は「素晴らしい」とつぶやき、仕事を引き受けました。彼女の指導でクラスの成績はぐんぐん伸びました。
年度末、校長は女性教師を呼び「よくあの子たちを指導してくれました」と褒めました。
「あんなにIQの高い生徒が揃ったクラスを教えたのは初めてです。名簿の横に知能指数が書いてあったので助かりました」と教師が言うと、校長はびっくりして「先生、あれはIQではありません。ロッカーの番号ですよ!」
女性教師は天才児たちのクラスだと思い込み、実は問題児たちを教えていたのです。しかし、先生のその前向きな姿勢に、生徒たちの能力が引き出されていったのです。
人間にはIQよりも大切なものがあることを教えてくれる話です。
「IQがあるなら、SQもあるべきだ」と提唱するのは、クリスチャンの理論物理学者マイケル・ギレン博士です。博士は「科学万能主義に傾いた現代人は、知的なことばかりに目を向けて、魂の大切さを忘れてしまっている。確かに科学(医学)によって人類は20世紀になって突如、かつてより30年も寿命を伸ばした。そのため人類は、科学は全ての問題を解決してくれると勘違いし、神を排除してしまった」と言います。
そして博士は、その著書『知的な人間であっても神を信じられる』の中で次のように言っています。
- 科学は、神を肯定も否定もしない。
- 人間を他の動物と区別するものは、知性ではなく、霊性である。
- 信仰は、人の精神と体を健全にする力がある。
ある調査によると、神を信じ、定期的に教会に通っている人々は、健康で長寿で人生を前向きに生きる姿勢を持ち、信仰を持った若者は早すぎる性体験も少なく、犯罪率も低く、自殺願望も少なく、学業レベルも高く、希望、目標、自尊心を持っているのです。
逆に大きな家に住み、高級車に乗ることが人生の成功のしるしだと考えている人たちの人生は、荒廃していくのです。
オハイオ州立大学の心理学者、ロバート・マーキン博士は、「物質的な豊かさを求め続けることは、長期的には落胆と疲労を生じさせ、人々を永続的に不幸にする」と言います。
まさしく聖書が言う通りです。「金銭を愛する者は金銭に満足しない。富を愛する者は収益に満足しない。これもまた、むなしい」(伝道者5:10)
近年、歴史上初めて、権威ある米国医科大学協会は、外科医たちの訓練において、患者の信仰を考慮するように指導しています。精神医学会では伝統的に、宗教は迷信めいたものとして排除してきました。
1988年の時点で、精神科医の養成に宗教を取り入れているのはわずか15パーセントでしたが、1994年では、精神科医は宗教に関する教育を受け、患者の霊的な信念を深刻に捉えるように指導されています。
今、知性(IQ)だけに頼らず、霊性(SQ)も働かせて物事を総合的に判断することが求められているのです。
IQは倫理、数学、語学と物理的な現実を知覚し、知的に問題を解決する能力であり、SQは、非物理的な現実を知覚し、霊的に問題を解決し、確信を得る能力です。
IQとSQの相違点は、IQは先天性のもので変わることがないけれども、SQは神との関わりの中で成長していくということです。
イエス・キリストは「心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ」(マタイ22:37)と言われました。英語だと heart、soul、mind です。心と魂と知性をもって神を愛することが大切なのです。
主イエスもまた、IQとSQの両面の大切さを教えられたのです。
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