「私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように」(エペソ1:2)
ジョン・ウッデンは、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のバスケットボールチームの元監督です。ウッデン監督は、チームを1967年から73年まで、7年連続でNCAA(全米大学競技協会)で優勝させ、通算で10年間チャンピオンに輝かせた伝説的な監督です。その間88試合連続勝利という記録も達成しています。ウッデン監督はUCLAバスケットボールの黄金時代を築き「ウェストウッドの魔術師」とまでたたえられました。
ウッデン監督は1910年、インディアナ州の農家に生まれました。幼いころから教会に通い、今でも教会生活を大切にしているクリスチャンです。
監督とは、家族の次に選手たちに影響を与えることのできる大切な存在であると、ウッデン監督は言います。ウッデン監督はこの特権を、選手たちが幸せな人生を送るために用いたいと思っています。そのために監督の権威と影響力を用いて、3つのことを目標とし、これを「聖なる任務」と呼んでいます。
① 選手たちの人格を磨くこと。
② 選手たちに建設的なものの考え方と価値観を教えること。
③ 選手たちに模範を示すこと。
ウッデン監督の教えで印象的なものに、以下のようなものがあります。
「過ちを犯すことはある。しかし、自分の過ちを人のせいにするまでは失敗ではない」
「過去の過ちは忘れなさい。そして未来に達成すべき、より偉大なことに集中しなさい」
「愛なしに与えることはできる、しかし、与えることなしに愛することはできない」
ウッデン監督の「成功の定義」とは次のことです。
「成功とは、自分がなれるベストの状態になるために最善を尽くしたと自覚し、満足することによって得られる心の平安のことである」
従ってウッデン監督にとってチームの成績は、試合のために準備してきた努力の副産物にすぎないのです。つまり、自分が最善を尽くしたときに、既に成功しているのであり、その結果がトロフィーであったり、メダルであったりするのです。
このような教えの下で練習してきた選手たちは、ウッデン監督からバスケットボールの技術だけでなく、人生の生き方そのものを学ぶのです。
UCLA卒業後、プロバスケットの選手となり、殿堂入りしたビル・ワルトン選手は、ウッデン監督について、こう語っています。
「ジョン・ウッデン監督がコートで教えてくれたもの、チームワーク、個人の長所を伸ばすこと、自制心、集中すること、秩序、リーダーシップなどは、実生活にも応用できることである。監督は人生こそ本当の試合だと考え、私たちをゲームのためではなく、人生そのもののために鍛え、備えてくれた。子育てが始まり、バスケットボール以外の職業について、初めてそのことに気付いた。監督は、私たちがより良い選手となるためのみならず、より良い人間となるための教育をしてくれたのだ」
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