【CJC=東京】カトリック教会の反体制派神学者の代表とされるチュービンゲン大学教授のハンス・キュンク神父も80歳、今では最年長神学者の仲間入りしているがこのほど、イタリア紙レプブリカとのインタビューで、教皇ベネディクト十六世への不満を明らかにした。カトリック教会にとって「悲劇」なのは、1965年に第二バチカン公会議で出された自由化路線をローマが歩むことに失敗したことだ、と言う。
自叙伝『自由を目指す我が闘い』(仮訳)でキュンク神父は、チュービンゲン大学カトリック神学部長だった1966年に、ベネディクト十六世を教授に任命したことに責任を持っていた、と明らかにしている。通常は複数の候補者を挙げるのに、その時は最適任として1人だけを挙げた。教皇は69年まで同大学に在籍した。その3年間、両者の関係は実りあるものだったと言う。
キュンク神父は教皇不可謬説を批評したことで、79年にカトリック神学を講じる資格をバチカン(ローマ教皇庁)から剥奪され、辞任せざるを得なかったが、その後も同大学プロテスタント神学部で講義している。
2005年4月にベネディクト十六世が教皇として選出された際、キュンク神父は、「ひどく、失望した」と語っている。しかし就任5カ月目に教皇に呼ばれ、夕食を共にしたことがあり、教皇への期待を公表したことで、2人の間に和解が成立したとの噂も広がった。キュンク神父は前任者のヨハネ・パウロ二世との会見を希望してきたが、教皇は生前、それを拒んできたと伝えられている。
レプブリカ紙とのインタビューで「ローマは、あらゆる種類の革新を妨げ続け、プロテスタントや正教会との一致への動きを妨げている。教皇は重大な誤りをしている」とキュンク神父は語った。ただ教皇が、状況転換のために「勇気ある行動」をすることを望むと付け加えてはいる。