【CJC=東京】米大統領選の共和党指名候補になるジョン・マケイン上院議員は5月22日、福音派のテレビ伝道者ジョン・ヘギー氏から受けていた支持を返上すると発表した。
ヘギー氏は、ナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーのユダヤ人虐殺を、結果的にユダヤ人のイスラエル帰還を促したとの見方から「神の意思の表れ」と解釈、肯定するような発言をした。 マケイン氏は「支持を受けた段階では発言を知らなかった」とし、「正気ではない。許しがたい」と支持辞退を表明した。
ヘギー氏は、発言をヒトラー容認と受け取るのは「はなはだしい誤解」と反論、「根拠のない攻撃が重要な政策論争の妨げになっている」としてマケイン氏支持を撤回した。
福音派は共和党の重要な支持基盤である宗教右派の最大勢力で、その支持は、マケイン氏の選挙戦に大きく貢献すると見られていた。
ヘギー氏はテキサス州を中心にしたテレビ布教で活躍、サンアントニオに『コーナーストーン教会』を設立、1万9000人の信者を抱えているという。ジョージ・ブッシュ政権や、イスラエル右派勢力との関係が深い。今年2月にマケイン氏を支持すると表明していた。
ただ最近になって「神はユダヤ人を天国に送るためにヒトラーを地上につかわした」などと説教で述べていたことが表面化した。同氏はカトリック教会に対しても「カルト教団」などと形容していたが、これについては謝罪している。
大統領選に向けた候補者指名争いでは、民主党のオバマ上院議員が、通っていた教会の牧師の問題発言から「絶縁」を余儀なくされ注目を集めた。