米国の人道主義団体が、学校の児童たちが、靴箱にクリスマスプレゼントを詰めて世界の貧困地域の子どもたちに贈る企画を禁止させようとしている。
「神抜きの善」を標榜する米国の人道主義団体「米国ヒューマニスト協会」(AHA)は、大衆伝道者フランクリン・グラハム氏が総裁を務めるキリスト教人道支援団体「サマリタンズ・パース」が推進する「オペレーション・クリスマス・チャイルド」(OCC)と呼ばれる靴箱送付プロジェクトを中止させようとしている。理由は、OCCの狙いの中に、キリスト教の伝道と弟子訓練が含まれるためだ。
AHAは、今年のクリスマスに向け靴箱の受け付けが公に始まった週に、この訴えを起こした。靴箱は、世界中の子どもたちの手によって、ペンや色鉛筆、紙、小さなおもちゃ、その他のプレゼントが中に詰められ、アフリカの国々などに送るために梱包されていた。
AHAは、2014年に初めて訴訟を起こし、今年2月に控訴していた。AHAのヒューマニスト法務センターは、信教の自由と政教分離の原則を保障する米国憲法修正第1条に基づき、この企画に反対している。
AHAの法務部門責任者であるデイビッド・ニオス氏は、コロラド州のダグラス郡教育局が、福音派によるキリスト教企画を度々推進してきたと主張している。ニオス氏は特に、スポーツ宣教団体「クリスチャン・アスリート・フェローシップ」によるプログラムや、サマリタンズ・パースのOCCなどに言及した。
ニオス氏は、「学校に通う子どもを持つ納税者である私たちは、校区の学校が、発展途上国の子どもたちを改宗させようとするキリスト教宣教団体の活動を支援することに反対します。公立の学校が生徒に圧力を掛けて宗教活動に参加させることは、国教条項が定める教会と国家の分離に反します」と主張している。
英国では英国世俗協会(NSS)がOCCを批判しており、貧困と人道的援助を使って伝道を行っていると主張している。
一方、NSSはOOCに関する意識を高めようとはしているものの、AHAのように訴訟を起こすことは計画していないという。NSSのスティーブン・エバンズ氏は、英国クリスチャントゥデイに、 「米国では憲法修正第1条に『分離の壁』があるのですが、わが国にはそれがないのです」と語った。
サマリタンズ・パースの広報担当者は、「OCCは、どなたでもご参加いただける毎年恒例の企画で、世界中の恵まれない子どもたちのために行われるクリスマスプロジェクトです。この企画に毎年参加するか否かは、各個人、各団体の自由です」とコメント。「OCCが1993年に始まって以来、幾万もの教会や団体にご参加いただいており、これまでに1億3500万個の靴箱を集めることができました」と述べた。